military.comによれば、米陸軍は歩兵用の高機動車ハンヴィーからの脱出を訓練するシミュレータを開発しました。
シミュレーターはフォート・カーソンに設置されました。装置はハンヴィーを模しており、360度回転できます(写真が記事中にあります)。訓練を受ける兵士が装置に入り、装置をひっくり返して、そこから脱出する方法を練習するわけです。機銃手がハッチにいる場合、他の兵士は彼を車内に引き戻します。装置の回転が止まると、兵士は指揮官に状況を査定して報告します。それから片方の腕を頭の上に置いて体重を支え、片方の腕でシートベルトを外します。兵士は戸外に出ると周囲を警戒しながら負傷兵の手当を開始します。このシミュレータは今後53機が製作される予定です。
イラクでの米兵の死因を調べていると、意外に多いのが交通事故による死亡例です。戦闘に関係のない交通事故もありますし、作戦行動中に事故を起こしている事例もあります。運河などの川に落ちたり、路外に転落した事例もよく見ます。そこでよく見かける英単語が「rollover」なのです。車が横転する事例は本当によく見かけます。脱出方法を訓練するために、シミュレーターまで作ってしまう米軍は、ほんとうにたっぷりと予算をつけられていると思います。しかし、感心していても意味はありません。交通事故を起こさない訓練をした方が賢明という発想もほしいところです。こうした訓練をすると、米兵が無茶な運転をした挙げ句に車を横転させ、脱出した後で近くにいたイラク人を誤射するといった事件も起こしそうです。生存率だけを高めるのではなく、事故率を下げる訓練が行われているかが気になるところです。
それから、military.comは先日書いたイルカを使った軍港警備の記事の続報も報じています。この記事には、米海軍が1950年代後期に動物を警備に使う訓練を始め、冷戦の間に140の動物を使っていたことを紹介しています。興味のある方はお読みになるとよいでしょう。