onlineで定期購読の申し込み!

総合的国際情報誌
フォーサイト

歴史ファンなら…
歴史街道

米議会も9月を最終期限に設定か?

2007.5.9



 ワシントン・ポストが、米議会が9月にイラク増派の最終的な評価を下す方向で動いていると報じました。 共和党と民主党の両方の議会指導者が、ブッシュ大統領に数ヶ月内にイラクの治安が向上したことを証明するよう求めたのです。その期限は9月末だろうと記事は書いています。この見通しは先にここで説明していますが、事態はそのとおりに動いているようで、少々安心しました。

 すでに統合参謀本部会議長ピーター・ペース大将が、8月までにイラク駐留軍の指揮官が増派の成否を判断することを望んでいると言っており、その駐留軍指揮官ペトラエス大将も増派を完全に完了してから1〜2ヶ月間かけて状況を評価すると言っています。つまり、米軍は8〜9月末までには増派の評価を終えたいと考えているわけです。ここに来ては、米議会も軍の要望に耳を貸さないわけにはいきません。

 さらに、ワシントン・ポストはもうひとつの理由をあげています。米政府の会計年度は9月末で終了し、次年度は10月1日からはじまります。会計年度の切れ目でイラク政策の方向転換をすると、議会としては何かと仕事がしやすいという理由があります。下院は2008年8月末、上院は2008年3月末を撤退期限としています。次年度の予算に関する議論は、すべて撤退に向けたものに整理したいと考えるのは当然でしょう。(ちょっと安直な態度のような気もしますが)

 ブッシュ政権はオウム返しのように撤退期限を決めるのは、テロリストに味方することになる、と言い続けるでしょう。もちろん、9月に撤退の話が本決まりになるわけではありません。ワシントンでは最後の攻防が行われるはずで、最終的な決断はもっと先になるはずです。ブッシュ政権が議会案に妥協して撤退するほうが得策だと判断するような状況になるのかが問題です。さまざまな運動団体はそのような世論を作り出すよう努力するでしょう。次期大統領選挙の動きも徐々に加速しています。今年の秋はかなり騒々しい状況がアメリカで見られるかもしれません。イラク戦が新しい局面に移動しつつある兆候を少しだけ感じられますが、まだまだ先のことは分かりません。しかし、今回はベトナム戦争ほど長い時間アメリカ人は待とうとは思わないでしょう。

onlineで定期購読の申し込み!

ニューズウィーク日本版
航空自衛隊なら
Jウイング

代表的ニュース週刊誌
Time(英語版)

陸戦用車両なら
PANZER

ニューズウィーク日本版
海上自衛隊なら
Jシップス
Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.