ワシントン・ポストがバグダッド西部のスンニ派武装勢力がアルカイダと交戦したと報じました。これまで、アルカイダはスンニ派とつながりがあるとされていましたが、そのスンニ派とアルカイダが交戦したというのは興味深いことです。
もっともスンニ派と一口に言っても、地区ごとに考え方は異なると思った方がよいので、今回の事件はスンニ派の一部が行ったことと解釈すべきでしょう。また、モハメッド・アブデュール・カリク市長は、米軍がこの戦闘に関与することに反対しています。スンニ派武装勢力はアルカイダも米軍も敵だと考えているのです。すでにアンバル州ではスンニ派がアンバル州救済評議会(the Anbar Salvation Council)を結成し、米軍やイラク軍と協力体制をとっているといいます。4月にはアンバル州で起き始めた変化を報じる記事を紹介しましたが、この時点では私は半信半疑でした。しかし、体制は実際に作られているようです。そうした動きがバグダッドで起こったのなら、これは変化と言えます。しかし、米軍の関与を嫌っているところを見ると、あまり期待はできないのかも知れません。この種の小競り合いはイスラム教国では珍しくありません。
それにしても、アンバル州は今年に入ってからもテロ攻撃が多発していました。突然この変化を見せたのには、どんな背景があるのかが気になります。これが反アルカイダの連合として大きな動きとなり、レイモンド・オダルノ中将が言ったように大半のイラク人を連携させられるのかは何とも分かりません。今回の戦闘が、住民のアルカイダに対する警告のようなものなら、アルカイダは別の場所へと活動を移すだけです。自分の居住地でテロ攻撃が起きなければ、スンニ派武装勢力もそれ以上は動こうとしないかも知れません。これだと大きな動きへはつながっていかないことになります。