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武装勢力がIED製造・運用を改善

2007.7.29



 イラクの武装勢力が作る爆弾に変化が見られたようです。military.comが「homemade explosives(HME)」と呼ばれる爆弾について報じました。

 最近、2種類の爆弾が新しく認識されるようになりました。肥料や簡単に入手できる市販品で作られるHMEと、以前よりも深く埋められた爆弾("deep-buried" bombs)です。HMEは、肥料、酸化窒素、アセトンと、あらゆる種類の酸化剤を材料としています。

 イラク国内で爆発した爆弾の30〜40%の爆薬の成分と起爆方法は解明されていません。HMEやより深く埋められた爆弾はスンニ派武装勢力が製造し、EFP(explosively formed penetrators/自己鍛造弾頭)はシーア派武装勢力が製造していると考えられています。EFPと深く埋めるIEDはイラク国内のIEDの14〜15%に過ぎませんが、75〜85%の死傷者を生んでいます。約3,600人の米軍の戦死者の内、約1,500人がIEDによって殺されています。5月には88人の米兵がIEDによって死亡しており、これは最悪の月間記録です。

 米軍は、武装勢力が爆弾を強化した目的は強力な爆発に耐えられる車両(戦車やブラッドレー、ストライカーなどの歩兵戦闘車)を破壊するためとみています。爆発物に詳しい民間軍事会社の社員によれば、武装勢力は材料が手軽に手に入るのと、米軍が軍需品の流れを止めることに成功したためにHMEに切り替えたと考えられるとのこと。

 これまで旧イラク軍の砲弾が爆弾の材料になっていたのは、イラクの各地に武器が隠されており、そこから少しずつ運び出して使えたからです。いずれ品切れになることは明らかでしたが、そろそろ品切れになったということでしょう。迫撃砲弾はまだ在庫があるようですが、これも密輸は難しいのでいずれはほとんど使われなくなるはずです。しかし、代用品になっても威力がむしろ強化されているのは皮肉です。当然、この傾向は今後強まるわけで、武装勢力の目標は耐爆式のMRAP(the Mine-Resistant Ambush-Protected vehicle)をIEDで破壊することでしょう。今まで開発されてきたIED探知方法が気休め程度にしかならないのに対して、武装勢力は威力を確実に強化してきました。記事には肥料だけでなく、ガソリンに化学物質を加えて乾燥させたものを5ガロン缶に詰める方法も紹介されています。ほとんど規制するのが難しい物品でも爆弾は作れます。だから、市民に紛れ込んだテロリストを根絶するのが難しいといわれます。米軍に対処法はほとんどありません。これがイラク以外の地域でも使われるようになると最悪です。希望がどんどんなくなっていく感じがします。


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