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イラク:ムサンナ州知事暗殺に倒れる

2007.8.20



 ワシントン・ポストによれば、20日午前9時頃、自宅を出て事務所へ向かったイラクのムサンナ州知事ムハンマド・ハサーニ氏(Mohammed Ali al-Hassani)が乗ったSUVが自宅から近い場所でIEDにより爆破され、ハサーニ知事、運転手、警護官が死亡、事務長と警護官2名が重傷を負いました。ムサンナ州は陸上自衛隊が駐屯して復興支援活動を行った土地です。

 今月11日にも、他のイラク南部のカリリ・ジャリル・ハンザ知事(Khalil Jalil Hamza)と警察本部長が暗殺されており、両知事はイラク・イスラム最高評議会(Supreme Islamic Iraqi Council: SIIC)のメンバーでした。SIICはアブドゥル・アジズ・ハキム(Abdul-Aziz al-Hakim)が率いるシーア派組織で、ムクタダ・サドル師が率いるシーア派民兵組織のマハディ軍と対立していました。紛争の原因はイギリス軍が撤退しつつあるイラク南部の石油利権です。SIICはムサンナ州の議会の40%を占めており、残りは他のシーア派の政党で占められています。現地の警察はマハディ軍の犯行とみなしています。ハサーニ知事は2004年10月に来日し、小泉総理と会談していました。

 このように、イラクをはじめとする中東地域は争いごとの多い場所なのです。こんなことは遥か前から分かっていたことで、当然起きることと考えるべきことです。最近、チェイニー米副大統領がこのことをよく認識していたことを示すビデオ映像がYouTubeに掲載され、その中でフセインを排除するとイラクが混乱すると述べていたことが報じられています。私が一番知りたかったのはそれです。湾岸戦争当時、私は大統領警護隊を破壊してから停戦すべきだと思いました。フセイン政権を崩壊させないで戦争を終わらせるべだと1994年に考えていたのなら、なぜ2003年に反対の選択肢を選んだのか? その理由を世界中の人たちが知りたがっているはずです。

 先だっての日曜日に掲載した「イラク自衛隊 『戦闘記』」の書評で、私はイラクに自衛隊を派遣した日本政府の決断を厳しく批判したばかりでした。今回の暗殺で、イラク派遣隊が苦労して作り上げたサマワとのリンクが壊れました。特に小泉総理にとっては、実績の象徴的な部分が崩壊したことになります。自衛隊に散々苦労させても、結果は精々こんなものです。それでも、小泉総理は「こんなことでテロに屈するべきでない」と繰り返すかも知れませんが。

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