army-times.comによると、イラクの武装勢力は家屋内に爆弾を仕掛ける戦術を使うことが増えています。
1月9日、米兵がディヤラ州で家屋を捜索していたところ爆弾が爆発し、6人が死亡し、4人が負傷しました。アルカイダ系武装勢力は町にやってくると、人びとを家から追い出し、そこを指揮所として利用すると同時に爆弾を仕掛けると、ティクリートに司令部を置く第1機甲師団長マーク・ハートリング少将(Gen. Mark Hertling/原文中ではGen.ですが、実際には少将です)は説明します。
こうした家屋内に仕掛けられる爆弾は、「vehicle-borne improvised explosive(VBIED)」に対して、「house-borne improvised explosive(HBIED)」と呼ばれています。ディヤラ州でHBIEDは少なくとも、6個発見されています。爆弾の方式は、爆弾を入れた塗料缶を天井から吊したり、幅木の中に仕掛けたり、数種類あるようです。
なるほど、米軍が空爆に切り替えたくなるわけだ、と皮肉を言いたくなる話です。このアルカイダの戦術の変更はごく当たり前のことで、過去にも使われている手です。久しぶりにアルカイダの柔軟な戦い方を聞けました。しばらくは、米軍とアルカイダが爆弾の設置と解除で、様々な手を考え出し、実行するやり取りが続くことでしょう。この場合、やっかいなのはリモートコントロールで起爆する方です。前に、玩具の「Silly String」で起爆用ワイヤーを見つける方法が報じられたことがあります。しかし、起爆がリモートコントロール式だと発見することはできません。無線式なら妨害電波である程度は防げますが、旧式の有線式だと、上手く仕掛けられると見つけるのが大変です。
それから、この記事には別の気になる事柄が書かれています。ハートリング少将は作戦が漏れていると確信していると言います。彼はイラク軍が安全ではない携帯電話や無線を使うためだと指摘します。情報漏れはいつものことですが、未だに改善していないようです。また、作戦開始2日間で20〜30人の武装勢力を殺したものの、空爆で何人が死んだかは分かっていないと言います。これは爆撃した場所に兵士を送って、戦果を確認していないためとも考えられます。米軍がいよいよ空爆頼りになっていることが窺えますし、大統領選挙を控えて戦死者を出さないように配慮しているためとも考えてしまいます。これらは状況証拠なので断言はできませんが、そろそろまた戦死者のリストを分析すべき時期なのかも知れません。
米兵の死者が減った秋以降、作戦活動中に戦死した事例と、パトロール中の事例とその他の事例との比率を洗い出し、作戦活動中の死者の割合が大きく減っているのなら、米軍が攻撃的な軍事活動を控えていると推測できます。死亡時の状況の説明は完全なものではなく、完璧な分析はできませんが、運がよければ傾向はつかめます。
時間があればやってみたいと思いますが、ちょっと手が回りそうにありません。手を挙げてくれる人はいないでしょうか…。
それから、globalsecurity.orgに、テロ事件の傾向に関する分かりやすいグラフが表示されています。これを見る限り、イラクの治安はまだ十分に改善していません。