米軍がイラク・アフガンで有害物質を垂れ流し

2008.10.4
同日 15:15修正



 marine-corps-times.comによると、ランド研究所(Rand Corp.)によって、米陸軍がアフガニスタンとイラクで、有害物質による汚染を引き起こしているという報告書が公表されました。

 この報告書「Green Warriors: Army Environmental Considerations for Contingency Operations from Planning through Post-Conflict」は書籍の形でも購入できますが、pdf形式なら無料でダウンロードできます(ダウンロードはこちら)。254ページもあるので、すべてを読むのは大変ですが、記事は要約を掲載しています。

  • 国防総省が雇った契約業者が廃油をイラクのゴミ廃棄場に捨ててから容器を売却した。
  • アフガンにいる米兵は、特定できない液体を含む数種類の廃棄物を埋め、土壌と地下水を汚染の危険にさらした。
  • イラクにおいて、空軍基地が燃料漏れを起こすタンクがある飛行場に設置され、地面を掘り返す時に健康被害をもたらす。
  • イラクにいる指揮官が駐屯地に廃棄物処理場を設置したところ、手榴弾とIEDの標的になる危険性が増えた。
  • イラクで、ハイグレードのディーゼル燃料が、基地の飲料水に使っている湖に流れ込み、飲料用に使用できなくなった。
  • イラクの米軍部隊は不適切に殺虫剤、バッテリー、油製品、その他の有害物質を捨て、兵士は「油井の補充だ」と冗談の種にしている。
  • イラクにいる兵士が殺虫剤が入ったドラム缶を転がした後に病気になった。

 記事はかなり長いので省略しますが、気になることは他にも書かれています。米陸軍工兵学校はイラクには有害な廃棄物が1千百万ポンド(約4,535t)あると見積もっています。ドイツでは厳しい環境法がありますが、イラクではそのような法律がないため、米軍はまったく注意を払わないのです。「ゴミ拾いに来たわけじゃない。こっちは命がけなのだから、それくらいはやってくれ」というのが米兵の本音でしょう。アメリカは、イラクやアフガンを助けに行くと言いながら、根底には差別意識があるのです。

 こうした問題は日本国内でも起きていますし、韓国でもベトナムでも起きています。かつてベトナムでの事例を、ここで紹介しました(記事はこちら)。この種の環境汚染は軍隊だけでなく、工場など有害物質を扱う施設ではどこででも起こります。これも戦争の一つの問題なのですが、問題視されることは少なく、長期間に渡って問題として残り続けます。


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