シリアとイランに関する核情報

2008.12.2



 今日は核兵器関連のニュースがあります。spacewar.comによれば、IAEAは近くアル・カイバー原子炉の衛星写真をもってシリアと対面しようとしています。また、同サイトの別の記事によると、IAEAはイランが持つ遠心分離器が5,000台を超えたと発表しました。

 IAEAは加盟国から提供されたアル・カイバー原子炉の衛星写真をシリアに見せる予定です。どの加盟国が写真を提供したのかは明らかにされていません。これまで、IAEAは爆撃された施設の商業用の衛星写真がないために、正確な評価ができずにいました。また、IAEAはイスラエルの爆撃により施設が破壊されて、正確な調査が困難になったと述べました。

 先月、紹介した記事では、IAEAはまだアル・カイバー原子炉が本当に原子炉であるかどうかを判断できないとしていました。そこで、どこかの国が軍事衛星の写真を提供し、その結果、間違いなく原子炉であると確認ができたようです。まあ、理解しやすい展開だと言えます。

 IAEAは、イランが持つ濃縮ウランの遠心分離器の数が5,000台以上になったと発表しました。先週、IAEAは、イランでは3,820台の遠心分離器が稼働しており、別の2,132台が設置されたか、テストされていると述べました。イランは630kgの低濃縮ウランを持っており、3,800台の遠心分離器が稼働中であると、IAEAは見積もってきました。低濃縮ウランを核爆弾に使う高濃縮ウランへ転換するには約1,700kgが必要ですが、別の見積もりは700kgという数字を示しています。8月末に、イランは約4,000台の遠心分離器が稼働しており、さらに数千台が設置中だと述べていました。イランのIAEA大使は、濃縮ウランはIAEAの予防措置の下にあり、核爆弾へ転用することはできないと述べています。

 イランは着実に遠心分離器の数を増やし、濃縮ウランの製造を加速しています。かねてより、イランが核爆弾を製造できるようになる前に、イスラエルが核施設を爆撃すると言われており、それをきっかけに中東で戦争が起こると言われています。これはごく自然な見解ですが、実際どうなるかは、その時になるまでは分からないのが実態です。イスラエルは核武装しているとみられていますから、イランに核攻撃されれば、報復のために核攻撃を行うでしょう。そうすれば、イランも破滅的な損害を被ります。核兵器を持つ国同士による核兵器を用いた戦争の実例はなく、どのような展開になるかは予測しがたいところがあります。従来言われていることとは、まったく違った展開になる可能性も秘めています。イスラエルがそうなる直前に爆撃して、核施設を破壊するのには、そんなところに理由があるわけです。


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