ケリー議員がソマリア本土の攻撃を疑問視

2008.12.30



 military.comによると、2004年の大統領選挙に立候補したジョン・ケリー上院議員(Sen. John Kerry)が、ソマリアの海賊を陸上で攻撃する案について、冷ややかな見解を示しました。

 ペリー上院議員は、ベトナム戦争で高速ボートの指揮官を務めました。ボートをRPGで攻撃したベトコンを追いかけるためにボートを着岸させ、上陸してベトコンを殺し、銀星賞を受勲しています。こうした経験から、彼はソマリア本土内での攻撃を疑問視しているのです。彼は、いかなる無計画で杜撰な軍事行動にも反対すると主張しています。「私は、何に首を突っ込もうとしているのか、どこに行こうとしているのか、どんな状況の中にいるのかは分かっている。私が言いたいのは、5人の警察官をモガディシュ(ソマリアの首都)の中心部で暴れさせれば、トラブルになるということだ。利口にならねばならない」。記事は映画「ブラックホーク・ダウン」の二の舞になることを指摘しています。

 13日の記事で、米第5艦隊指揮官のビル・ガートニー海軍中将が、陸上攻撃に疑問を示したことを紹介しましたが、今度は自分で陸上攻撃を経験した(?)、ケリー上院議員から疑問の声です。「ブラックホーク・ダウン」が繰り返されるかどうかは慎重に判断すべきです。前例を調べることは軍事分析の上で重要ですが、機械的にそうすることは判断を誤る元です。ソマリアの武装勢力「アル・シャバブ」は海賊を掃討すると宣言しています。この状況の中に、米軍を送り込んだ場合、アル・シャバブが米軍と共同行動をとるのか、それとも米軍と敵対するのか、支持はしないけども黙認をするのか、という問題を解く必要があります。この判断は非常にむずかしく、実際の軍事活動の内容を左右しかねません。すべては、アル・シャバブの出方にかかっています。

 ガザ地区に対するイスラエルの武力攻撃については、もう少し情報を集めてから書きたいと考えています。明日くらいには、まとまった意見を書けるかも知れません。なお、2006年のヒズボラとイスラエル軍の戦いについては、同年7月22日からの記事を読んでください。当時の戦闘がどのように進展したのか、かなり詳しく解説しています。


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