ランド・ウォリアー・システムが兵士に不評

2008.2.14



 2006年10月の記事で、米陸軍第9師団第4大隊が2007年から最新装備の「ランド・ウォリアー・システム」を持ってイラクに派遣されることを紹介しました。SF映画のような歩兵をハイテク化する装備が兵士たちからどのように評価されているのかをmilitary.comが報じました。

 ある兵士は「これは17ポンド(約7.7kg)のGPS装置ってところです。我々は使えることになっている物の半分を使っていません」と述べています。ある作戦士官は、必要な時に必要な場所へ行く移動において混乱が減り、ロスタイムを防ぐのに役に立っていると述べました。ある小隊長は天候の加減ですぐに人工衛星の電波を受けられなくなると不満を述べています。すでにバッテリーの軽量化が図られていますが、別の小隊長は自分が使えない装備を余計に7.7kg担ぐ点を問題視し、もっと改良する必要があると述べました。別の小隊長は、インターナル・メッセージ機能は使ったことがないと述べています。

 最も大きな問題は重量と容積の問題で、兵士たちは「もっと軽く、もっと小さく」と望んでいるようです。しかし、GPS機能が使えない場合があることや、無線による交信機能が使えないというのは、このシステムの根幹部分が機能しないということです。隠れた場所から撃てる銃に対する不満は書かれていないので、これは好評なのかも知れません。しかし、そうだとすれば、目玉である歩兵のIT化はほとんど実現していないことになり、予想していたよりは従来型の戦闘支援システムでしかないことになります。これはかなり意外です。完璧とは言えなくても、それなりには便利な物だろうと想像していたからです。

 防衛省技術研究本部が研究中で、一時、自衛隊のガンダム化計画とメディアが報じた装備の無線機の重量は9kgと公表されています。これは日本人には重すぎます。日米共に、このシステムの実用化はかなり先の話と考えるべきのようです。


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