M4小銃問題は6.8mm弾で解決か

2008.7.12



 military.comによれば、兵士の評判が悪いM4小銃について、上院議員のスタッフ約30名が、クァンティコの海兵隊基地で他の小銃との性能を比較するために集まりました。(この件に関する過去の記事はこちら

 比較されたのは、5.56mm口径のM4、7.62mm口径のFNH製Mk-17、 6.8mm口径の多目的弾(SPC)を使う改良型M4です。

 5.56mmの弾は標的の動きを止める能力に欠けているという批判があります。2006年の調査では、30%の兵士がもっと強力な弾が欲しいと望んでいます。陸軍は標的の正しい場所を撃てば、敵は倒せると説明しています。これは、急所を正確に撃たないと、敵は倒せないと言っているのと同じです。兵士が欲しいのは、敵にかすりでもすれば、確実に敵が倒れるような銃弾です。military.comのインタビューに答えた、ある特殊部隊の兵士は、7.62mm口径のAK-47が好きな理由として、「どこであれ、敵に命中さえすれば倒れるから」と答えたと記事に書かれています。

 SPCは短い銃身でも適切な弾頭特性を得られるように、戦術支援作業グループ(Tactical Support Working Group)によって半年間で開発された銃弾です。このグループによると、M4小銃を5.56mmから6.8mmへ改造するのは、銃身と機関部を含む上部レシーバー部品を交換するだけで、簡単に行えます。上部レシーバーを下部レシーバーから取り外すのは、兵士が日頃のメンテナンスでやっていることなので、むずかしくありません。だから、陸軍と海兵隊に6.8mm用の上部レシーバーを支給しても、現場で混乱が起きることはないでしょう。

 記事には、スタッフたちが、どのような結論に至ったかは書かれていません。この手のデモンストレーションは形式的に終わるものです。代わりに、専門家たちのコメントがいくつか紹介されています。これは、この問題に対する兵士の関心が高いことを反映しています。小さなイベントでも記事にして、少しでも読者に情報を与えようというのは、読者の関心が高いことをmilitary.com編集部が承知しているからです。

 この記事からはM4小銃を6.8mm口径に変更することは、ひとつの解決策であることを示唆しています。この方法なら、小銃の取り扱い方法が変わらないので、兵士の訓練を一からやり直す必要はなく、マニュアルの作り直しもなく、軍の面子も立ち、軍事産業も困りません。改良版のM4小銃で少し射撃訓練を行えば、兵士はすぐに適応するでしょう。アメリカの銃器産業は、軍や警察にヨーロッパ製の銃が好まれるようになり、受注が減っています。せめてM16とM4小銃だけは自国産をという声は無視できないでしょう。こういう声に答えながら、問題を解決するには、6.8mm弾は最適です。7.62mm弾は、口径が大きいため、重く嵩張り、携帯に不便だという問題があります。6.8mmには、そうした問題をクリアできる潜在力もあります。今後、少しずつ外堀が埋められていき、改良が実現するのではないかと予測します。

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