military.comによると、東アフガニスタンに派遣されている州軍兵士が農業指導を行っています。これは大麻の栽培を合法的な栽培に転換することが目的です。
ネブラスカ州、ミズーリ州の部隊がこれまでに農業支援を行っており、テネシー州、インディアナ州、カンザス州の部隊が続く予定です。指導している作物は、トマト、ブドウ、トウモロコシです。潅漑システムと穀物貯蔵施設の改善も図っています。米政府は2007年会計年度に170万ドルを予算支出し、2008年5月までに180万ドルが使われました。この計画は、アフガンの農民に21世紀の技術を教えるのではなく、18世紀や19世紀の技術へ進めることを目標としています。同様の技術指導がイラクで行われる予定です。
農業はアフガンの国内総生産の45%にも昇り、農業人口は総人工の70%以上に達しています。アフガンは世界の大麻の90%以上を生産しています。彼らはやせた土地で苦労するばかりで、家族を養うために武装勢力に参加する者もいます。まさに、貧困がテロの温床となっているのです。元防衛大臣の石破茂氏は、昨年11月、「福田内閣メールマガジン」の中で「圧政や貧困がテロの本質的な原因なのではありません。」と述べています。このことは、記事として紹介しました(記事はこちら)。アメリカの会計年度は年度前年の10月にはじまるので、夏にはこうした議論がはじまっていなければなりません。石破氏がメルマガに書いた1年も前に、アメリカではすでに方針転換が決まっていたことになります。いかに防衛大臣がずれた話をしているか、責任与党である自民党にすら、軍事に明るい者がいないかということです。彼は、洋上給油さえ続ければ、麻薬の密輸ルートを押さえられ、テロの資金源を立つのを手助けできると言い続けてきました。
このように新しい変化が起きてから公表されるまでは、時間がかかることがあります。記事からは、現在指導についている部隊が今年2月から派遣されていることが分かります。おそらく、その前の部隊は昨年秋頃から活動していたはずです。多分、現実に収穫が実現できるまで、報道は控えられたのでしょう。何らかの成果を生まないと、宣伝効果が低いからです。しかし、軍事を観察する者としては、こうした情報は多いほど好ましく、できるだけ早くに報じて欲しいと思います。
これが成功するなら、アフガンに必要なのは軍隊よりも農業指導者だということが明らかになります。もともと、州軍の任務に農業指導は入っていません。最初からテロの危険を認識し、発展途上国に対する援助の仕方を工夫していたら、問題は軍隊を使わずに解決し、金のかかる海外派遣を長期間続ける必要もなかったことになります。こうした問題が理解されにくいのは、解決があまりにも遠くにあって、解決しがたく見えるためです。軍隊を解決のために使うのは最悪の選択です。軍隊はごく目の前の問題を解決するのに長けた組織だからです。世界の貧困をなくす活動には向いていません。こうした事柄はもっと世界的に認識される必要があります。