space-war.comによると、イラクの武装勢力だった者を地元の自警団(市民軍)に参加させ、給料を払うことで、治安の向上を図る米軍の計画は、イラク政府が怠慢なために頓挫しています。
アメリカは、自警団の隊員をイラク保安軍に編入する計画ですが、現在活動中の103,000人のイラク人の内、イラク保安軍に編入された者は600人に足りません。このため、かつてはアルカイダに参加していた多くの自警団の隊員が武装勢力に逆戻りする可能性が出ています。
シンクタンク「新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security)」のコリン・カール(Colin Kahl)は、米軍が毎月25ドルの自警団への援助を止める2009年6月までに武装勢力をイラク保安軍に編入しなければ、大変な事態になると警告しています。
この計画は、以前から問題が指摘されてきました。このサイトでも、2月29日に給料が安すぎるために、任務を放棄する隊員の記事を紹介しました。それが、未だに解決されていないのです。このまま問題が放置されると、せっかく向上したスンニ派地域での治安が再び悪化する可能性があります。イラク政府がシーア派指向なので、スンニ派に対して不親切になっている可能性もあります。ここ最近、向上したように思える部族間の格差が、再び表面化したわけです。この解消しがたい問題が早急に解決されるとは考えにくく、この問題は大きな問題へと発展する危険性があります。今後、スンニ派地域でテロ活動が活発化しないかを、注意してみる必要があります。