米陸軍は、新兵徴募のために、非常にリアルな3Dゲーム「America's-Army」をインターネットを経由して無料で提供しています。これは、本物そっくりの訓練や戦闘を体験できる、3Dゲームとしては極めてリアルなゲームです。しかし、陸軍は満足していないらしく、今度はバーチャルリアリティの戦場を体験できるセンターをオープンしたと、military.comが報じました。
フィラデルフィア市の複合商業施設「フランクリン・ミルズ(Franklin Mills)」にあるスケート場の真向かいにオープンした、敷地面積14,500平方フィート(1,347平方メートル)の「陸軍体験センター(Army Experience Center)」では、様々な体験ができます。
ここではテレビゲームが遊べるほか、ヘリコプターやハンヴィーに乗った任務をディズニーランド級のアトラクションで体験できます。訪問者はトム・クランシーの小説に出てくるような戦術オペレーションセンターで説明を受けます。大型のタッチスクリーンで、陸軍の150種の仕事の説明を見ることができます。あるスクリーンでは、「Google Earth」で世界中の米軍基地の位置が見られます。誰でも入場できますが、ゲームをやりたい訪問者は、年齢が13歳以上で、年齢と連絡先を登録し、メンバーズカードを作る必要があります。徴募官から連絡を受け取るかどうかは選択できます。
呼び物のアトラクションは、UH-60ブラックホーク、AH-64アパッチ攻撃ヘリコプター、ハンヴィーのシミュレータです。訪問者はブラックホークの銃座に着き、巨大スクリーンに写し出される敵を狙い撃つことができます。ヘリが動き出すと振動が起こり、風が吹き、銃を撃てば反動が起きます。ゲームはイカした内容で、そこがポイントです。もし、参加者に70ポンドの荷物を背負わせ、砂を食べさせるようなシミュレータなら、子供たちは志願申請書にサインしないだろうと、記事はしめくくっています。
2年前にも、陸軍のテーマパーク建設の報道がありました。今回は本当にオープンしたようです。公式サイトで見ると、朝霞市にある陸上自衛隊広報センターの内容を上回っているようです。こんなことに予算が出る米軍が羨ましいというよりも、アホらしいと思います。この施設の維持には、かなりの費用がかかるはずです。防衛省も東京の渋谷に「自衛館」を作り、志願者を捜しています。こうした場所では、戦闘ストレスによるPTSDについては説明しません。そんなことを話せば、ほとんどの人が帰ってしまうからです。軍人の人生は戦争があるかないかで大きく変化します。平時はひたすら戦争の準備をして、有事は死傷したり、そのストレスに曝されます。隊員の徴募はこうした問題を前面に出さないようにしないと成果はあがりません。そこで考え出されたのが条件反射付けです。リアルなゲームで任務の一部を条件反射として学習させることは、実は志願申請書にサインすることの抵抗感を減少させます。そのためには、多少の費用は惜しまないというのが軍隊の考え方です。こういう流れは、これからは当たり前になるのかも知れません。