人権団体アムネスティが、イスラエルが民間人の近くで使うことを国際法が禁じている白リン弾をガザ侵攻で使用したことは「明らかで否定できない」と主張していると、space-war.comが報じました。
4人の調査チームは、ガザ市とガザ北部で広範囲にわたって白リン弾が使用された明白な証拠を発見しました。彼らはまだ燃えている(フェルト)ウェッジ、砲弾とキャニスターの残存物が道路や路地に散らかっているのを確認しました。武器専門家のクリストファー・コッブ=スミス(Christopher Cobb-Smith)は、通常は地上爆発で用いられる発煙弾を空中爆発させたことは、危険な地域を拡げるだろうと述べています。
アムネスティのウェブサイトには、白リン弾は116個の白リンの小片をばらまくと書いてあります。globalsecurity.orgの説明にあるように、フェルトウェッジが116個に別れているのはM825ですから、アムネスティはM825が使用されたと見ていることになります。なお、「キャニスター」は白リン弾ではなく、キャニスター弾と呼ばれる散弾を撃ち出すタイプの砲弾の残存物だろうと思われます。
今回の発表は第一報であり、アムネスティは時間をかけて詳細な被害報告を作成するでしょう。どこでどれだけの証拠が発見されたのかが、図で示される必要があります。もちろん、ガザ地区の病院で作成された白リン弾被害者のカルテなども重要な証拠となります。そうした資料を基に、白リン弾をどう規制していくか、国際的な議論が行われなければなりません。ファルージャ、レバノン、そしてガザ地区で、白リン弾が民間人居住区に対して使用され、大きな被害を出したことは国際法改正の基礎を作ったのです。今後、正確な調査が行われ、その結果を見ることができるよう望みます。
付記します。米軍では、白リンを使った砲弾すべてを「WP」と呼び、それ以外の発煙剤を用いる砲弾を発煙弾「Smoke」と呼ぶ習慣があるようです。もちろん、「WP」は「Smoke」の一種です。しかし、「WP」という呼称は、発煙弾と焼夷弾との両方に用いられており、私自身も混乱していました。現実には、米軍は発煙弾として分類・登録されている「WP」を対人用の焼夷弾として運用してきた歴史があります。そうした背景を加え、18日に掲載した私見を修正・追加しました。