アフガンへの補給路が拡大

2009.1.22



 space-war.comによれば、米軍はアフガニスタンへの補給路として、キルギスタンなどと協定で合意しました。

 デビッド・ペトラエス大将(General David Petraeus)はパキスタンを訪問するために、カザフスタン、トルクメニスタン、タジク、キルギスタンを訪問し、協定をまとめました。ペトラエス大将によると、これら中央アジア諸国だけでなく、ロシアとも協定が結ばれたようです。この記事は毎日新聞も報じていますが、重要な部分が抜けているようです。ペトラエス大将は、合意に達した協定について「商業品とサービスの通過協定(transit agreements for commercial goods and services)」だと述べていますから、軍需品は含まれていない可能性があります。

 また、military.comによれば、アフガンのカルザイ大統領がロシアと防衛問題で協力することになりました。ロシアのメドベージェフ大統領は「独立した民主的なアフガンと協力する準備ができている」という書簡をアフガンに提示しています。記事はどのような協力が行われるのかは不明としています。これは先の補給路である可能性が高そうです。武器弾薬の供給に手を出すと、アメリカともめるのは目に見えています。

 軍で使われる民生品は数多く、それらの安定供給が可能になったことは、アメリカにとって幸いでした。こんな風に、補給への協力についても、軍需品と民生品の区別がつけられるのは珍しいことではありません。むしろ、そういうところで外交の工夫が凝らされるものなのです。たとえば、ロシアは昨年11月にドイツ軍の装備品が領内を通過してアフガンに運ばれることを承認しました(記事はこちら)。このように、細かいところを調整することで外交上の「会話」ができるのです。

 イラクに空自の輸送機を派遣した時、日本政府は「武器(弾薬を含む)の輸送は行わないものの、外国兵が護身用として携行する武器は「武器・弾薬に当たらない」という判断を示しました。しかし、どこまでが護身用の武器なのかは明確にされませんでした。護身用とは言いますが、要するに各国軍の標準装備として、小銃、拳銃、ナイフ、手榴弾程度は運べるようにしたかったのでしょう。しかし、国際法上、明確に説明できる方法としては、傷病兵につきそう医療要員が携帯を許される武器に限定するやり方があります。彼らは自分自身と患者を守るためだけに武器を携行し、それはジュネーブ条約の定義に従って各国軍が定めた内規によって種類が決まっています。やる気さえあれば、武器を持たない状態の兵士に限り輸送という条件もつけられたはずですし、人道支援物資に限ることもできたはずです。それをしないのは、非常にまずい考え方が日本で流行しているからです。ここ数十年、東京裁判史観を脱却して「普通の国」になれという意見が、若手政治家や経営者の間で流行しました。しかし、こうした意見を支持する人たちは必ずしも軍事問題に精通していません。そのため、国会での議論も自衛隊を派遣することばかりにとらわれ、細かい点では全然「普通の国」になっていないのに、それに気がつけないのです。いずれ、こうした欠点が大きな失敗を招くことが心配されます。


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