重要なニュースが同時に出ており、すべてを扱い切れません。あわせて、以下に簡単に紹介します。
昨年5月に、PTSDを被った兵士に名誉負傷章を与えるという話を紹介しました。ロバート・ゲーツ国防長官は検討されて然るべきと述べていましたが、この度、PTSDは名誉負傷章の授与資格を有さないという決定がなされました(記事はこちら)。この勲章は血を流した兵士、つまり肉体的な負傷を負った兵士だけに与えられるべきだというわけです。
military.comによれば、米国務省の対テロ作戦部の責任者デル・デイリー大使(Amb. Dell Dailey)が、アルカイダのネットワークは大きく破壊され、大規模なテロ作戦を行う力を失ったと述べました。元陸軍特殊部隊指揮官のデイリーは、アメリカが今でも組織の指導者を殺害・逮捕できるのに対して、アルカイダは特殊作戦や法執行機関、無人機の攻撃による絶え間ないプレッシャーのために、穴ぐらの中に追いつめられていると述べました。これは去りゆくブッシュ政権への餞みたいなもので、本気にする必要はありません。ガザ侵攻もあり、アメリカに対する反発はこれまで以上に膨れあがっています。国際的なイベントに過剰とも言える警備が必要になり、その環境の中で民間軍事会社だけが得をするような異常な世界になっていることを考えるべきです。
military.comによれば、復員軍人援護局長に就任する見込みのエリック・シンセキ大将(退役)が退役兵の医療を向上させると述べました。シンセキ大将は現在、いくつもの大企業でビジネスをしていますが、復員軍人援護局長になるのに備えてすべてを辞任する予定でいます。記事には書いていませんが、これは彼の年収が大幅に減ることを意味します。シンセキ大将は、就任後にどのような活動を行うかを公表しました。2003年1月から、「プライオリティ8(Priority 8)」とよばれる年収が約30,000ドルを超える退役軍人は復員軍人援護局の登録から除外されていました。オバマ次期大統領は選挙公約でプライオリティ8の恩給復活と全体的な恩給の改善をあげていましたが、シンセキ大将はそれを実現するつもりです。また、書類をコンピュータ化することで、傷病手当金の申請から至急まで6ヶ月間もかかっていたのを改善します。8月から始まる新しい恩給の受け取りが遅れないように、独立した徹底的な再検討を行います。住宅都市開発局、労働者・中小企業管理局と緊密に活動し、退役軍人の経済的機会を増やし、ホームレスを減らします。シンセキ大将が評判の悪い復員軍人援護局をどう改善するかが気になります。
military.comによると、米国平和研究所(the United States Institute of Peace)は、アメリカとその連携国のアフガニスタン戦略は、結合力のある戦略や貧困、地方分権国の働きについて明確な理解なしに追求された短期的な目標に焦点を合わせることで不当に扱われたという研究を発表しました。J・アレキサンダー・ティエ(J Alexander Thier)によって編集された報告書は複数の研究家の小論を含んでいます。この報告書は、ブッシュ政権はアフガンを安定させるために在任期間中8ヶ月を除いてその他の国と国際機関はあまりにも非現実的で短期的な目標をトップダウン型の政府になれていない国に設定したと述べ、少なくとも十年のプロジェクトと考えるべきだと指摘しています。米国平和研究所のサイトにはティエ氏が編集した「The Future of Afghanistan」という報告書が掲載されています。おそらく、この記事が述べたのは、この109ページの報告書のことです。私は先日、ISAFの活動はアフガンを安定化するものとは思えないという見解をこのサイトで示しました(記事はこちら)。統合参謀本部議長マイケル・マレン海軍大将も先月、アフガン戦略が誤っていた可能性を認めました(記事はこちら)。平和研究所の報告書は、アフガンについて考える者なら、誰でも感じていることが書かれているようです。まだ、目を通せていませんが、後でできるかぎり読んでみようと思います。
珍事も起きています。military.comによれば、米陸軍が契約する業者が、兵士の家族7,000人に子息の戦死を通知した際、手紙の冒頭に「Dear John Doe」と記載してしまったのです。「John Doe」は身元や氏名が分からない男性を意味します(ちなみに、女性の場合は「Jane Doe」)。米陸軍はミスを認め、総参謀長ジョージ・W・ケーシー大将が、手紙を送られた家族に謝罪の手紙を送付しました。戦死通知では、時々こういうおかしなミスが起こります。