spacewar.comによれば、統合参謀本部議長マイケル・マレン海軍大将(Admiral Michael Mullen・姓は「マレン」とも訳されています)は、アフガニスタンのタリバンは、近年、より暴力的で、さらに組織化され、これから先、兵士たちが極めて難しい戦闘に直面するという見解を示しました。
マレン大将は、治安状況の向上を得るのにどれだけの時間がかかるのかは明らかではないが、ヘルマンド州における作戦の最新の局面は始まったばかりだと述べました。
ほかにも記事にはマレン大将の様々な言葉が書かれていますが、ほとんど力の感じられない、これまでの見解の繰り返しです。タリバンはより勢いを増しており、治安は悪化しています。兵士はさらに熾烈な戦いを強いられます。最終的に、タリバンはアフガン人が追い出さなければなりません。そして、それがいつ起きるのかは、まったく分からない、というわけです。いちいち日本語に直す気にもならない言葉ばかりです。これは作戦が成果を生まず、堂々巡りのような状態になったまま、継続していることを意味します。ゲリラ鎮圧作戦は、ごく小規模な対象に、大規模な軍隊を投入して、何とか成功する程度のものだということを、私たちは理解する必要があります。この事実は、ベトナム戦争以降ではなく、植民地解放戦争以来、すでに数百年の歴史を持っているのです。テロリズムがごく最近の現象だと考えるのは間違いで、世界は既に数百年分のテロの時代を経験しているのです。それなのに、未だに世界はテロ戦争について正しく理解していません。
前回、簡単に紹介だけした、米兵が誘拐されたmilitary.comの記事に触れます。7月3日の記事で、この事件を最初に紹介していました。誘拐された米兵は6月30日に、定期的なチェックにおいて所在不明が判明し、タリバンは7月6日に「5日前に駐屯地から出てきた酔った兵士をムジャヘディンが確保した」と主張しました。兵士の防弾具と武器は基地内にあることが確認されており、彼が基地を出た理由は不明のままです。タリバンは、米軍がガズニ州(Ghazni province)のギロ地区(Giro district)とパクティカ州(Paktika province)のコーシュマンド地区(Khoshamand district)を空爆するのを止めなければ、誘拐した米兵を殺すと主張しています。しかし、米軍広報官は、今月行われたギロ地区での作戦には空爆は用いられておらず、どちらの地区もヘルマンド州に属していないと主張しています。
状況から言うと、捕まった兵士は酒を飲もうとして、基地を脱走したところをタリバンに捕まったのか、同時に行方不明になっているアフガン兵3人がタリバンと通じていて、米兵を基地外におびき出したことが想像されます。あるいは、アフガン兵3人と一緒に酒を飲もうとしたのかも知れません。アフガン人はイスラム教徒なので飲酒しないはずですが、実際には戒律を破っている者がいます。この事件で面白いのは、タリバンが米軍基地の間近に網を張って、いつでも行動できるようにしているということです。これは敵地に置かれた基地には当然のことです。国内では社会活動家が自分の軍の基地を監視していることすらあります。このように、軍は常に監視されるものだということを理解しなければなりません。そんな場所で、うっかり基地外に出れば、どうなるかは明らかなのです。当然、基地の中にいても用心を怠るべきではありません。味方のはずのアフガン兵がタリバンに通じている可能性があるからです。そんな緊迫した環境には耐えられない者は、軍隊にいるべきではないということになりますが、脱落者が出るのも無理からぬところがあります。それほど戦地での緊張は激しいのですから。最終的には根比べになります。こういう戦いでは、貧しい方が貧困に慣れているので、より有利です。これも過去何度も繰り返されてきた戦いのパターンなのです。