military.comによれば、オバマ政権は5年間で20億ドルの軍事援助をパキスタンに与えることになりました。
2012〜2016年までに、米国製兵器、弾薬、付属品をパキスタンが購入するため議会に20億ドルを要求すると、ヒラリー・ロダム・クリントン国務長官(Secretary of State Hillary Rodham Clinton)は言いました。
この援助はオバマ政権が、裁判によらない殺害と拷問を含む人権侵害が疑われる特定のパキスタン軍部隊への援助を差し控えている時、パキスタンがアフガニスタン国境で過激派と戦うことに完全には約束しないという懸念の最中に起こりました。
新しい軍事援助は、2005年に始まり10月1日に期限切れになる、類似したより価値のない契約と置き換えられます。それは75億ドルを民間の援助に使うもので、一部は洪水の対処への援助に変えられました。
パキスタンのシャー・マハムード・クレーシー外務大臣(Foreign Minister Shah Mahmood Qureshi)は、援助に感謝するものの、長く疑いをかけられていることに不快感を表明しました。彼は約30,000人の民間人がテロ攻撃で死亡し、7,000人近い兵士と警察官が敵と戦って死亡したと言いました。
新しい援助は人権侵害が疑われるパキスタン軍部隊には用いられません。オバマ政権は、すでにいくつかのパキスタン軍への援助を止めていると、米当局者は言います。匿名希望の当局者は、1997年にパトリック・レーヒー上院議員(Sen. Patrick Leahy)が支持した、アメリカの軍事援助が残虐行為に関与したと疑われる外国の軍隊に行くことを禁じた、いわゆる「レーヒー修正条項(Leahy Amendment)」により停止されたと言います。援助を差し控える決定がいつ最初になされたか、どれくらいのパキスタン軍部隊が影響を受けたかについては、現段階では明らかではありません。
ワシントン・ポストの説明はもう少し詳しく書かれています(記事はこちら)。
新しい援助の大半は国務省が管理する「外国軍事援助計画(Foreign Military Financing program)」に適用されます。これはパキスタンにアメリカの軍需品を購入するための資金を与えます。パキスタンはこの援助計画から1年ごとに約3億ドルを受け取ります。今後5年間、これを4億ドルに増加します。パキスタン軍は、総額で75億ドルの、昨年議会が承認した、5年間の非軍事援助契約に合致する複数年度の確約を求めました。計画は対テロ戦に必要なヘリコプターやその他の装備をパキスタンがアメリカの資金で購入することを認めます。今年、アメリカのパキスタンへの軍事援助は総額で約20億ドルになります。オバマ政権が5年間を保証したものの、議会は未だに軍事・民間援助両方を各年の予算で承認し、議員たちはパキスタン軍による人権侵害を繰り返し報告しています。
それから別件を紹介しておきます。military.comの別の記事は、アルカイダがアフガンに兵士を派遣したブルガリアを攻撃目標にしたと発表したと報じています。
ブッシュ政権期になされた援助は、非軍事援助の中から軍事援助が捻出されていたように読めます。つまり、過去5年間で民間支援の名目で支払われたのが75億ドルで、その中から20億ドルが軍事支援に使われたのです。この理解で正しいのかは、ちょっと自信がありません。5年間で毎年3億ドルを払っていたのなら計算が合いませんから、20億ドルは同時多発テロ以降にパキスタンに支払った総額かも知れません。しかし、民間と軍事の援助をまぜるような曖昧なやり方で、米議会は納得していたのでしょうか?。
とにかく、今後5年間は毎年4億ドルを軍事援助として出すのは間違いがありません。3億ドルで現在のような体たらくですから、4億ドルでも、そんなに状況は変わらないという気がします。それでも、アメリカにはパキスタンくらいしか有力な味方がいないのです。
パキスタンへの軍事援助に関しては、過去の記事に参考になるのがあります(関連記事はこちら)。