読売新聞などが、海上保安庁のネットワークから漏洩したビデオ映像を、第5管区の少なくとも数十人の職員が漏洩前に見たと回答したのに、第5管区はそれを海保と捜査当局に報告しなかったと報じました。
調査は6日に約1,100人の全職員対して行われ、8日にとりまとめた。第5管区は「映像は誰でも見られる状況にはなかった」としていました。
読売新聞はデータが「流出」したと書いていますが、意図せずして漏れる流出と、意図的な「漏洩」は異なります。ここでは、あえて漏洩と書くことにします。この事件で、マスコミには本当にやる気が感じられませんね。
さて、第5管区が事実を報告していれば、海保が内部からの漏洩はないと断言することはなかったと考えられます。前に、海保の説明は不合理で、意図的にそうしているのなら隠蔽だと書きましたが、その通りだったようです。(関連記事はこちら)
この隠蔽の方がよけいに悪質です。鈴木海保長官は、こうした報告を元に国会で答弁を行い、それが結果としては嘘だったわけです。第5管区で、この事実を隠した者たちも処分を避けられないでしょう。さらに、データの受け渡しを間違えて、海保職員に閲覧できる環境を生み、事件の基盤を作った第11管区と海保大学の関係者も処分を受けるべきです。彼らのネットワークの技術はあまりにも初歩的で、機密データを扱えるレベルに達していないと断言できます。
就任したばかりの馬淵国交相を辞めさせたところで、問題の根幹は解決できません。
警察の捜査も意図的にゆっくりと行われており、海保との内々の摺り合わせが行われているのかと疑わざるを得ません。海保内での処分が決定してから、「すでに社会的制裁を受けた」としてビデオ漏洩の海保職員を不起訴処分とするというシナリオが練られていると思えます。こんなことをやっていれば、中国人船長を理由なく釈放したように、捜査関係者は事件を起こしても、軽い刑事処分で済むという悪しき風潮を助長しかねません。すでに、航空自衛隊の関係者の会合で、菅政権を公然と批判する者(隊員ではありません)が出たと言います。この国には責任者がいないのかと言いたくなります。
「週刊現代」11月27日号にビデオを漏洩した海保職員のインタビュー記事が、実名記載で載っているようです。「週刊ポスト」には、まだ公開されていないビデオ映像の話が載っているようです。どちらも未読ですが、気になることが書いてあったら追記します。