中国漁船監視船が尖閣諸島を離れる

2010.11.22

 尖閣諸島周辺の海域で活動していた中国の漁業監視船「漁政201」「漁政310」が21日夕方に西方に向けて出発したと、毎日新聞などが報じています。

 2隻は約32時間活動しましたが、接続水域を航行したものの、日本の領海には入りませんでした。


 先に当サイトで、尖閣諸島での中国漁船衝突事件における中国の対応は、彼らの狙いを物語っていると書きました(関連記事はこちら)。

 中国は周辺海域にある海底資源を狙っており、自国の領域であるという既成事実を作るために、この周辺での操業を奨励しているのです。長年にわたって漁業を続ければ、ここが自国の領海だと主張する材料が作れます。 それにより、尖閣諸島を自国領土とするか、最悪でも日本を海底資源を共同開発するようにしたいと考えていると予測すべきです。

 中国も本心で尖閣諸島が自国領土だと思っていないことは、今回の示威行動で明らかです。接続水域は領海と排他的経済水域の間にある海域です。中国が尖閣諸島を自国領土と考えるのなら、領海内に漁業監視船を入れるはずです。海保の巡視艇は漁業監視艇に繰り返し、領海に入らないように警告したとも報じられています。尖閣諸島が中国の領土であるなら、その周辺に日本の武装艦がいることを漁業監視船が本国に通報し、中国海軍の戦闘艦がやって来て、巡視船の排除にかかるという展開が見られなければなりません。しかし、そんなことは起きませんでした。そこまでやれば日本との武力対立になり、日米安保条約が発動されて米軍も乗り出してくるからです。

 菅政権は、こうした中国の意図を読み切れず、仙石官房長官の主導で漁船船長を釈放し、事件を撮影したビデオを一般公開しませんでした。これはいずれも間違った対応でした。仙石官房長官が判断を誤るのは、胃がんで胃を全摘出した経験から、ストレスを感じるとすぐに問題を解消して、手元から離そうとするためではないかと、私は疑っています。こういう判断しかできない人が、重圧がかかる官房長官を務めるのは危険であり、だから私は仙石氏を更迭すべきだと考えるようになりました。

 菅政権がやるべきなのは、海保庁に尖閣諸島周辺の領海内での取り締まりを強化して、中国に既成事実を作らせないことです。また、中国内部で尖閣諸島に関して、どのような戦略が立てられているのかも調査したいところです。中国政府内部のことは情報が少なすぎます。



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