戦闘情報をリークした米兵が逮捕

2010.6.8

 2007年に、イラクのバグダッドで米陸軍のアパッチヘリコプターが、ロイター通信社の社員2人を含む人々を機関砲で殺害した事件の映像が「Wikileaks」に投稿された事件がありました(関連記事はこちら)。military.comによれば、このビデオ映像を提供した米軍兵士がクウェートで逮捕されたと「Wired magazine」誌が報じました(元記事はこちら)。

 22歳の陸軍情報分析官ブラッドリー・マニング技術兵(Spc. Bradley Manning)は、4月はじめに「Wikileaks」が「Collateral Murder(付帯的殺害)」と呼んだビデオ映像の提供者です。マニング技術兵は2週間前に、バグダッドから約40マイルのハンマー前進作戦基地(Forward Operating Base Hammer)に配置されている間に逮捕されました。軍の声明によれば、マニングは機密情報を公表したために審理前の拘留に置かれており、クウェートで監禁されています。マニングは第10山岳師団第2旅団に所属しています。「Wired」誌によると、マニングは別の素材もリークしており、それは2009年のアフガニスタン、グラニ(Garani)における空爆、「Wikileaks」が保安上の脅威だと断定した陸軍の書類、マニングがほとんど犯罪の政治的裏取引を暴露すると主張する260,000件の外交特電を含みます。「Wired」誌によれば、これらの電報は公表されていません。マニングを通報した元ハッカーはアドリアン・ラモ(Adrian Lamo)だったと特定されました。彼は2004年にマイクロソフト社、レクシスネクシス社、ニューヨークタイムズ誌に対するコンピュータ犯罪で有罪を宣告され、自宅監禁と保護観察を宣告された元コンピューターハッカーです。「Wikipedia」によると、ラモはその時からジャーナリズムに転じ、彼の仕事はいくつかのコンピュータ雑誌に見られます。また、彼はFBIのような複数の米政府機関で非公式の情報提供者としても活動しているとされます。


 犯人は若い情報下士官でした。これで、あのビデオ映像が本物だったと確認できました。

 しかし、もっと気になるのは「260,000件の外交特電」です。国務省の通信内容を陸軍の下士官が入手できるのかという疑問があります。

 「Wired」誌によれば、チャットでマニングはラモに、これらの機密通信を公表すると言い、ラモは陸軍に通報し、陸軍犯罪捜査部とFBIが捜査を開始しました。米国務省は外交特電について関知していないとしています。

 military.comの記事には、外交特電は公表されなかったと書いていますが、「Wired」誌は、「Wikileaks」が外交特電を受け取ったかどうかは確認していないとしていますが、米大使館員とアイスランド政府との会議を描写する機密の外交特電が2月に「Wikileaks」上に現れたと書いています。

 これが本当なら、マニングの罪はかなり重いものになりそうです。兵士が戦争の汚さに耐えられなくなって告発を試みたのが真相ならともかくも、マニングの行動には少し興味本位的な部分が見えます。外交特電を公表することで、マニングはラモに興奮した様子を見せていたといいます。特に志があったわけではないのかも知れません。


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