アフガン軍がバーゲ・エ・マタルを奪還

2010.8.4

 アフガニスタンで戦死者が増加しているにも関わらず、戦闘そのものに関する報道はほとんどありません。戦況を把握することができずに困っていましたが、やっと、military.comが戦闘の様子を報じました。

 アフガン軍と米軍が、クナール州(Kunar province)でアルカイダとタリバンの指揮官、カリ・ジア・ラーマン(Qari Zia Rahman)の捜索を続け、ヌリスタン州(Nuristan province)では、タリバン戦士30人以上を殺しました。アフガンとパキスタンのアルカイダ上級指揮官と関係を持つタリバン最高指揮官を捕らえた後で、非公開の数のタリバン戦士を殺害し、2人を捕獲しました。

 パキスタン国境に接し、パキスタンのタリバンとアルカイダの隠れ家として知られるバジャール部族特区(the Bajaur tribal agency)に接するマラワラ地区(Marawara)で襲撃が行われました。7月20日にはISAFはマラワラを、タリバンとアルカイダの「隠れ家であり中継基地」と呼びましたが、28日の攻撃により、150人以上のタリバンとアルカイダ要員を殺害しました。ISAFは作戦上の安全のために指揮官に名前をつけません。ISAFは、この日の襲撃で狙った指揮官を名前で呼びませんでしたが、彼は6月に女性が行った自爆攻撃の首謀者だと説明しています。以前に、ISAFはラーマンをクナール州で活動するアルカイダのメンバーで、6月21日にアフガンの子供2人を負傷させ、米兵2人を殺害した女性による自爆攻撃の首謀者としていました。

 ラーマンはアルカイダのメンバーであるだけでなく、タリバンの地域での最高司令官です。彼はクナール州とヌリスタン州で活動し、パキスタンのバジャールでも活動することがあります。今年初め、パキスタンはラーマンを空爆で殺害したと主張しましたが、後に彼がメディアに登場して間違った報告をした内務大臣を侮辱しました。ラーマンはオサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)だけでなく、ファクリ・モハンマド(Faqir Mohammed)と密接です。彼の戦士は、チェチェン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、アフガニスタンと様々なアラブ国出身者です。

 ヌリスタン州では、アフガン・米両軍は競合地区のバーゲ・エ・マタル(Barg-e-Matal)にあるバチャンチャ村(Bachancha)とバドムク村(Badmuk)の掃討作戦で、30人のタリバン戦士を殺害しました。この攻撃は7月25日からはじまった進行中の治安作戦の一環です。タリバンは2週間、地区の中心部を支配していましたが、25日にアフガン軍の遊撃隊が取り戻しました。タリバンは150世帯以上に放火して、政府支持派の部族指導者を処刑しました。80世帯以上がタリバンの脅威を受けた後で避難しました。バーゲ・エ・マタルは6月末以降、支配権がアフガン政府とタリバンの間で4回行き来しました。激しい戦闘が繰り返されて、6月末以降、バーゲ・エ・マタルで130人以上のタリバン戦士が死に、その内50人は7月23日の、地区中央付近のタリバン基地での作戦で死にました。


 夏バテか、疲れが抜けずに、昨日は記事を更新できませんでした。

 記事にはスペルミスがあるようです。カリ・ジア・ラーマンの名前は一番最初に「Qai Zia Rahman」と書かれていて、それ以降は「Qari Zia Rahman」となっています。「Qari」が正しいと思われるので、そのように統一しました。

 戦果があがっているようですが、これを読んで、兵士を支援したいとか、撤退を延期して、さらにタリバンを追い詰めるべきだとか考えた人は、兵士を余計に殺す人たちです。イラクでも、この程度の戦果は何度も実現していますが、戦争は泥沼化していきました。掃討作戦を長引かせれば、犠牲者が増えるだけです。現在、米軍はアフガンで戦死者の月間記録を更新しています。敵が多く死ぬときは、味方も死ぬときと考えなければなりません。バーゲ・エ・マタルは、今後再び、タリバンの手に落ちる可能性もあります。ここを維持するために、別のキーティング前哨基地が犠牲になったという話があるほどです(記事1記事2)。パキスタンにタリバンらの隠れ家があるのですから、彼らがそこに逃げ込み、機会を見て、奪還に出てくる可能性は大きいとすべきです。本当の勝利か一時的な勝利かは、正しく見分けなければなりません。

 ところで、「ハート・ロッカー」のDVDとBDが9月に発売されます。まもなく、私のところにサンプル品が届きます。指摘した字幕の問題は、一部が採用されて直っているようです。サンプル品を入手したら、どんな仕上がりかをお知らせする予定です。

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