先日紹介したアーリントン国立軍人墓地(kmzファイルはこちら)の管理問題ですが、military.comによれば、遂に本人が埋葬されているかどうかを確認するために、遺体を掘り起こすまでに問題が発展しました(関連記事はこちら)。
掘り起こされるのは、海兵隊のヒース・ワーナー二等兵(Pvt. Heath Warner)の遺体です。彼は2006年11月22日に、イラクでIEDによって戦死し、家族の依頼によって確認が行われることになりました。家族は、アーリントン墓地に対する信頼が失せたので、ワーナー二等兵の墓標をアーリントン墓地に残したまま、遺体を地元の墓地に移したいとも考えています。
ワシントン・ポストは水曜日に、先月、軍当局が墓を掘り起こして、2人が間違った墓に埋葬されていることを確認したと報じました。アーリントン墓地の公報は、すべての疑問に答えて、問題を終わらせるため、墓地がワーナー家と共に作業をしていると言いました。ワーナー二等兵の父親のスコット(Scott)は、海兵隊で一緒だった友人が、遺体の身体的特徴を調べると言います。友人は、認識票2枚と腕の入れ墨を探し、地元カントンの葬儀で撮った遺体の写真を持っていきます。ワーナーの家族は、アーリントン墓地がワーナー二等兵の葬儀が行われたのは、イリノイ州の斎場だと発表したため、アーリントン墓地にある息子の遺体が別人かも知れないと懸念するようになりました。アーリントン墓地の書類が、海兵隊の書類ではワーナー二等兵が無宗派のキリスト教徒であるのに、プロテスタントとなっていると、スコットは言います。ワーナー二等兵は、2006年12月12日にアーリントン墓地に埋葬されました。彼の遺体はアーリントン墓地に来る前に、4日間以上、バージニア州にあり、墓地当局がすべての時間で所在を説明することができないことも、懸念の一つです。ワーナー二等兵は12歳の時に、彼の家族と共にアーリントン墓地を訪問し、彼はその経験により心を動かされたと、家族は言います。スコットは、連邦法規は彼の家族がアーリントン墓地から地元の墓地へ移すことを認める必要があるかも知れないと言います。彼は、DNA鑑定がアーリントン墓地に埋葬される者の特定のために用いられるべきだと考え、アーリントン墓地は調査が完了し、すべての問題が解決するまで、訪問客の受け入れを一時的に中止することを求めていると言います。
もう一点、米軍の失態に関する記事を紹介します。また、米海軍の指揮官が解任されました。military.comによれば、トライデント・ミサイル訓練所(the Trident Training Facility・kmzファイルはこちら)の指揮官、デビッド・ゾルムス大佐(Capt. David Solms)が、能力に対する信頼を失ったために解任されました。
アーリントン墓地は数あるアメリカの軍人墓地の中で、唯一、陸軍省が管理する墓地です。そこが、ここまで信頼を失ったわけです。アーリントン墓地へ埋葬されるには、所定の基準をクリアし、本人が希望することが必要です。そういう人が間違って埋葬されているとすれば、これほどの悲劇はないでしょう。さすがに、ここまで来るとコメントすべき言葉もありません。この事件は、世間が兵士を戦場に送り出すことには熱心でも、弔うことには、そこまでの熱意を持っていないことの証拠です。
トライデント・ミサイルは、潜水艦から発射する弾道ミサイルで、トライデント・ミサイル訓練所は、潜水艦に搭乗するミサイル担当者が、その基礎訓練を行う場所です。kmzファイルでこの場所を確認してください。これはキングズ・ベイ海軍潜水艦基地(Naval Submarine Base Kings Bay)の中にあり、米海軍中枢の一つです。Google Earthで、この基地の地理的な要素を確認してください。海軍艦艇により攻撃されにくい位置に建設されていることが分かります。まさに、ここは米海軍の潜水艦の聖地であり、そこの訓練施設の指揮官が解任されるのですから、米海軍は「芯から腐っている」のかも知れません。この問題については、すでに何度も書いてきたので、ここまでにします。