アフガンで戦闘前哨への攻撃が続発

2010.9.25

 military.comによれば、東部アフガニスタンのパクティア州(Paktia province)のガルデズ前哨基地(Forward Operating Base Gardez)の外縁をハッカニ・ネットワーク(Haqqani Network)が突破しようとしましたが、撃退されました。

 3日間で、東部アフガンで同種の攻撃は2回目でした。車を運転した自爆攻撃犯のあとにAK-47突撃銃で武装した戦士4人が続き、基地の防備を固めた場所を突破しようとしましたが、米軍とアフガン軍により阻止されました。兵士たちは車両を破壊し、攻撃を中断させました。残りの攻撃者たちは、現場から逃走しようとして殺害されました。アフガン兵士2人だけが負傷しました。連合軍は、20人と推定される攻撃部隊の残りを追撃しています。

 8月末から、ハッカニ・ネットワークは、東部アフガンの堅固に防衛された米軍の前哨基地に大規模な攻撃を5回行いました。

 8月28日、ハッカニ・ネットワークの戦士は、コースト州(Khost province)のサレルノ(Salerno)およびチャップマン(Chapman)の両前哨基地に組織的な攻撃を行いました。攻撃中とその跡に、米・アフガン軍は指揮官を含む35人の戦士を殺害しました。数人の戦士は米軍の制服を着用し、13人が自爆ベストを着ていました。

 9月2日、パクティカ州(Paktika province)ベルメル地区(Bermel district)の、マルガ戦闘前哨(Combat Outpost Margah)を襲撃し、米軍は迫撃砲と小火器で撃退して、最後に攻撃ヘリコプターを呼び、20人を殺害しました。

 9月21日、ハッカニ・ネットワークはスペラ戦闘前哨(Combat Outpost Spera)を攻撃するために集まった戦士27人を殺害しました。


 記事の最後には、タリバンとハッカニ・ネットワークが、今年5月以降、いくつかの主要施設に対する攻撃を行っていると書かれています。

 大抵が数十人の攻撃者で武装した前哨基地や施設を狙っています。こうした攻撃が成功する可能性はほとんどありません。武装勢力の兵数は精々、小隊規模です。これが事前に用意され、機関銃の十字砲火が組める陣地を突破できる可能性がないことは、第1次世界大戦で証明済みです。

 そういう無意味な攻撃を繰り返すのがタリバンの不思議なところです。イラクでも侵攻直後は、こうした攻撃が行われましたが、武装勢力はすぐにIEDの方が効果をあげられることに気がつき、襲撃を止めました。タリバンはなぜか同じ失敗を繰り返しています。これでは、集めた戦士を無駄に失い、長期の闘争を困難にします。

 それでも、昨年10月3日にヌリスタン州カムデッシュ前哨基地が(関連記事はこちら)、2008年7月13日にクナール州のワナットの前哨基地が大損害を受ける攻撃がありました(関連記事はこちら)。

 タリバンの価値観からすると、失敗しても、たまに大成功をあげられればよいのかも知れません。でも、これは軍事的には無意味です。この辺がタリバンの心理は本当に理解できないのです。また、米軍が撤退するのは、すでに決定済みです。IED攻撃だけやっている方が、損害を抑えて、戦果をあげられるというものです。

 なぜタリバンが同じ失敗を繰り返すのか、私には長いこと謎のままです。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.