military.comによれば、米陸軍は戦闘部隊に女性兵士を配置するかどうかを研究しています。
この問題について、ジョージ・W・ケイシー・Jr.陸軍参謀総長(Army Chief of Staff Gen. George W. Casey Jr.)が米陸軍協会(the Association of the U.S. Army)が行った朝食会で述べたということです。女性は現在、歩兵部隊、機甲部隊、特殊部隊から締め出されています。これら3つすべてを女性に開放するかどうかをケイシー参謀総長は言いませんでしたが、歩兵部隊に女性を配置する可能性を検討していると言いました。
陸軍のどの部署が問題を調査しているかは不明です。陸軍は記事を掲載するまでに質問に回答しませんでした。女性が交戦する時は、戦闘支援部隊のメンバーとしてそうしてきました。それは輸送部隊、整備部隊、憲兵隊であり、歩兵部隊ではありません。これはイラク侵攻の初期、第507整備大隊が攻撃を受けたときに強調されました。彼らの内3人ジェシカ・リンチ上等兵(Pfc. Jessica Lynch)、ロリ・ピステエワ上等兵(Pfc. Lori Piestewa)、ショーショナ・ジョンソン技術兵(Spc. Shoshona Johnson)が負傷し、イラク軍の捕虜となりました。ピステエワ上等兵は怪我により捕虜であるうちに死亡。リンチ上等兵はテレビ用に演出されたと報じられて議論を呼んだ作戦で救出されました。ジョンソン技術兵は引き続いて同じ部隊の他のメンバーと共に救出されました。以来、女性は歩兵部隊と共にパトロール、武装勢力の容疑者を拘束する夜間作戦においても、作戦が女性の民間人や拘留者を取り扱うことが必要な場合に行うことが増えました。男女両方の歩兵ではない兵士がイラクとアフガニスタンで戦闘をするようになった頻度は、陸軍に2005年に戦闘活動記章(the Combat Action Badge)の創設を促しました。歩兵の軍職特定コード(military occupation specialty code: MOSC)を持つ兵士にだけ与えられる戦闘歩兵記章(the Combat Infantryman's Badge)と違い、戦闘活動記章は交戦をしたり敵に攻撃された兵士に与えられます。
陸軍がこの問題でどんな決定をするにせよ、4月に退役するケイシー参謀総長は、それは次の参謀総長の下で起きると言いました。2012年度の国防予算を概説する記者会見で、ロバート・ゲーツ国防長官(Defense Secretary Robert Gates)は後任にマーチン・デンプシー大将(Gen. Martin Dempsey)を指名したと言いました。
まだはっきりしないものの、これはイラクやアフガンでの経験に基づいて、女性を歩兵部隊で活用しやすいようにする意図があると考えられます。米軍としては、さらにイスラム諸国で米軍が活動する機会を想定し、現地の女性に対処させるために女性兵士を現場で必要としているということです。
イラクでは女性兵士が検問所で、女性の身体検査を担当しました。そうした人の中から殉職者も出ていて、2007年に沖縄から派遣された女性の伍長が女性の自爆犯によって爆死しています。(過去の記事はこちら)
機甲部隊の隊員に女性がなれない理由は特にありません。女性が潜水艦乗りになれない理由はないとして、潜水艦への女性搭乗が進められているのと同じです。体力的な差に関しては歩兵部隊よりも問題は少ないでしょう。特殊部隊は少数の部隊が単独行動をする点で、女性がついていくのは難しい場合があるかも知れません。
母体を保護するという点で、戦地に女性を出すことは敵に拘束された際に強姦の被害を受ける危険を冒すことになります。事実、リンチ上等兵は意識を失っている最中にイラク兵に強姦されました。また、戦地で男性兵士と共に行動することでストレスを受けたり、セクハラを受けた女性兵士の事例も報告されています。だから、この問題には慎重な対処が必要です。
こうした危険な作業に従事させる以上、軍としても非歩兵の兵士に記章を与える必要があり、新しく戦闘活動記章が設けられたわけです。軍職特定コードは9文字の記号で、このコードで歩兵に分類されていない人は武装勢力と交戦しても記章をもらえないのです。しかし、対テロ戦以降、砲兵部隊の隊員もパトロールに駆り出される状況となり、彼らが戦闘活動を行うことも増えました。こうした受勲記録は軍隊内での昇進や除隊後の就職活動にも影響するので、公正である必要があるのです。