NBC対応部隊「CBIRF」は非戦闘部隊

2011.4.11


 military.comが福島第1原発事故に派遣された化学生物兵器事態対応部隊(Chemical Biological Incident Response Force: CBIRF)について報じているので、要約しました。

 145人の隊員は、ワシントン市に近いメリーランド州、インディアンヘッド(Indian Head)から4月2日に日本に飛びました。これは部隊の最初の海外派遣です。福島第1原発に近づくために北へ行く計画はありません。

 「我々は要請を受けたら複雑な問題を解決するために、ここにいます」と指揮官のマイク・ジョンソン少佐(Maj. Mike Johnson)は言いました。この非戦闘部隊は横須賀基地にいます。

 先任のマーク・ダムディー曹長(Master Sgt. Mark Dumdie)は「我々は、日本の軍隊を支援し、助言するためと、本当に、本当に悪いことが起きたら、即応するために、ここにいます。すべてのインジケーターは、それは進行していないと言っており、それは我々が必要なのに呼ばれないよりは、我々が呼ばれて不必要なのよりは、よりよいことです」と言いました。

 部隊は7機の航空機で運んだ32台の車両とハイテク機材と共に到着しました。ある車両はスタッフが素早く物質を分析できる移動式分析室で、煙の中の毒物を探知するためにレーザーを発射できると、ダムディー曹長は言いました。

 マスコミへの公開訓練の部分は省略しますが、この部隊の共同訓練に参加した自衛隊化学防護隊が1,000人の隊員400人を福島第1原発の近くに派遣していると書かれています。

 CBIRF部隊は1995年の東京の地下鉄サリン事件をきっかけに、類似した事件に対処するために、1996に創設されました。

 部隊は2001年に5人を殺害した炭疽菌攻撃で派遣されました。チームは手紙からサンプルを採取し、除去して焼却しました。


 CBIRFが地下鉄サリン事件から生まれたというところに興味を覚える人もいるはずです(海兵隊による説明はこちら)。産経新聞は「米国内でも厚いベールに包まれてきた部隊」と書いていますが、米軍なら何でも秘密と書くのは国内メディアに共通する悪癖です。炭疽菌事件で出動したのなら秘密とは言えません。米軍について調べていて、こんな部署があるのかと驚かされることは、特に珍しくありません。

 秘密めかさなくても、この部隊は非戦闘部隊であり、戦闘部隊とは一線を画しているようです。

 地下鉄サリン事件当時の米テロ対策大統領特別補佐官リチャード・クラークは、自著「9・11からイラク戦争へ 爆弾証言 すべての敵に向かって」の中で事件を回顧しています。彼はオウム真理教はアメリカにはいないと思ったものの、調査の結果、ニューヨークのマンハッタンに支部があることを知り、愕然としました。すぐに核・生物・化学戦部隊をその支部の近くに密かに待機させ、支部を監視下に置いたといいます。CBIRFがオウム・ショックから生まれたというのはうなずけます。首都近くに配備されているのも当然と思えます。

 ところで、自衛隊の化学防護隊が1,000人で、400人が派遣されているというのは疑問です。化学防護担当の部隊は全部隊で約800人で、福島第1原発に派遣されているのは第8化学防護隊の約30人と報じられています。400人は原発事故の支援のために派遣されている隊員全部の数字かも知れません。



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