アフガン国連事務所が襲撃さる
2011.4.2
追加 2011.4.3 6:50
東日本大震災とリビア情勢で手一杯で、しばらくアフガニスタンについて書けませんでしたが、すでに国内でも報じられているように大きな事件が起きました。
military.com によれば、マザリシャリフ(Mazar-i-Sharif)で国連事務所が襲撃され、外国人8人を含む、少なくとも12人の職員が殺害されました。
昨年、フロリダ州の牧師がイスラム教の聖典「コーラン」を焼いた事件へのデモンストレーションは、一部の者たちが警備員の武器をつかんで発砲し、建物を襲って放火した時、暴力によって変わりました。抗議者たちは、カブールと西部のヘラート(Herat)にも集まりました。
テリー・ジョーンズ牧師(Rev. Terry Jones)の教会「ドーブ世界奉仕センター (Dove Outreach Center)」が昨年、コーランを焼いてから、多くのイスラム教徒とその他の世界中の人々を動揺させました。
バルカ州(Balkh province)の広報官、ムンニール・アハマド・ファハド(Munir Ahmad Farhad)は、マザリシャリフでの抗議は、何百人もの抗議者たちが、抗議のために国際社会の象徴として選んだ国連活動の施設の外に集まった時に平和的に始まったと言いました。
一部の抗議者たちが警備員の武器をつかみ、発砲を始めると、群集は建物を襲い、黒煙があがりました。抗議者の一人、32歳の街の教師、アフマド・グル(Ahmad Gul)は現場にいたアフガン軍が抗議者を死傷させたと言いました。
北部数州のアフガン警察本部長、ダウド・ダウド将軍(Gen. Daud Daud)は、死者には国連で働くネパール警察官5人、施設が雇った他の国の外国人2人が含まれ、他の外国人1人が負傷したと言いました。
後に、同州の警察副本部長ラウオフ・タージ(Rawof Taj)は、負傷者は死亡し、25人が逮捕されたと言いました。
その他の3人の外国人の国籍は不明です。
内務省の広報官、ゼメリ・バシャリ(Zemeri Bashary)は、抗議者の4人が死亡し、2ダース近い市民が負傷したと言いました。
ロシア外務省は、国連事務所が雇ったロシアの民間人P・O・ヨルショフ(P.O. Yershov)が攻撃で負傷したと言いました。
アフガンでの国連援助任務の広報官、ダン・マクノートン(Dan McNorton)は攻撃で国連で働いていた人たちが死亡したことを確認しましたが、詳細を提供できませんでした。
「状況は未だに混乱しており、我々はいま事実のすべてを確認し、スタッフ全員の世話をしているところです」と彼は言いました。
アフガンの国連高官、スタファン・ド・ミストーラ(Staffan de Mistura)は状況を個人的に扱うためにマザリシャリフへ向け、カブールを発ちました。
マザリシャリフのビジネスマン、モハマッド・アジム(Mohammad Azim)は、拡声器を持つ聖職者が住民を抗議に招くために、木曜日に2台の車で街中を回ったと言いました。金曜日、都心の大きな青いモスクでの礼拝の後、聖職者は再び平和的な抗議に参加するように信者に頼みました。
調査のために施設に入った、マザリシャリフの警官、アブドル・カリム(Abdul Karim)は、中庭に3人と1階に1人、弾のあとだらけのネパール人警備員の死体を見ました。
彼は、頭に致命的な怪我をした別の犠牲者が、割れたガラスと薬莢が散らかる施設の地下室の階段で死んだと言いました。カリムは、部屋の中で殺された男性は顔と胴体に怪我をしていました。
何百人の人たちが西アフガンのヘラートの数カ所でも抗議しました。抗議者たちは、ヘラートのスポーツスタジアムで米国旗を焼き、「米国に死を」「やつらはイスラムの心を壊した」と繰り返し唱えました。
約100人の人々がカブールの米大使館に近い円形交差点にも集まりました。警察は交通に首都のデモンストレーションの周りで交通整理をしました。ある抗議者は「我々は、すべてのろくでなしのアメリカ人がすべての部隊と共にアフガンから去ることを望みます」というプラカードを運びました。
フロリダ州、ゲインズビルの教会のウェブサイトは、3月20日の5時間の審理のあとで、コーランを有罪と宣告し、建物の中でコーランを焼いたと述べました。ウェブサイトの写真は移動式コンロの中で炎に包まれた本を示しました。教会は金曜日にコーランを焼いたと認めました。(写真を掲載したブログはこちら )
声明で、ジョーンズ牧師は彼の行為が死を招いたかどうかにコメントしませんでした。代わりに、彼はイスラム教に「説明責任を持たせる」時が来た、アメリカと国連に「これらの国々と人々に、テロリスト活動を促進するために彼らが使ういかなる言い訳についてと同様、彼らがやったことについて説明責任を持たせる」よう要請しました。
政治家らのコメントは省略しました。
昨年、コーランを焼くと脅し、ロバート・ゲーツ国防長官の説得で、実行を中止したジョーンズ牧師が本当にコーランを焼いたのです。(過去の記事はこちら 1 ・2 ・3 )
去年は、ゲーツ国防長官の説得で事なきを得たのですが、今度は本当にやってしまったのです。彼は牧師の名にまったく値しない知性しか持たない人物としか思えません。ブログの写真を見れば、彼が裁判官が着る法衣を着て判事席を模した場所に座っているのが見えます。おまけに、動画へのリンクも掲載されています。下はその動画です。かつ、裁判の模様は「The Truth TV 」を通じて中継されたようですが、コーランを焼く場面は放送しませんでした。
Video streaming by Ustream
コーランに対する3つの起訴の主旨がブログに書かれています。
コーランは、世界中のテロリスト活動の訓練と促進について起訴されました。この起訴について、コーランは有罪とされました。
コーランは、イスラム教を信仰しないという罪しか持たない世界中の人々の死、強姦、拷問について起訴されました。この起訴について、コーランは有罪とされました。
コーランは、女性に対する、少数派に対する、キリスト教徒に対する、そしてイスラム教徒ではないあらゆる人たちに対する偏見と人種差別主義を促進した犯罪で起訴されました。この起訴について、コーランは有罪とされました。
過去の歴史すべてについて言うのなら、「コーラン」の部分を「バイブル」に置き換えてもそっくり成り立ちそうです。過去には宗教が戦争を起こし、人々を弾圧したことがありました。それらの問題は、宗教間で互いに弾圧を行わないという協定が結ばれるなどして修正されつつあります。ジョーンズ牧師の判決なるものは、そうした経緯をすべて無視して、自分が見たいところだけを主張するものです。裁判形式にしたところで、最初から有罪ありきで進められたことは疑いがありません。私としては、戯言なので無視して欲しいとイスラム教徒に言いたいところですが、すでに大きな騒ぎとなっていますし、これをタリバンが利用しないはずはないと考えます。だからこそ、このような行為は行うべきではないのです。
事実関係は不明ですが、平和的な抗議運動がテロへ変貌したのは、タリバンなどがデモ隊に混じっていて、頃合いを見て襲撃を始めた可能性を考えてしまいます。抗議運動を利用したテロ活動だったのか、単純な参加者が始めた騒動だったのか。事実関係を知りたいところです。