アフガンでも子供を自爆テロに利用

　military.comによると、アフガニスタンで子供が自爆テロに使われています。

　彼らの宗教上の教師の命令は明白でした。アフガンに行き、自爆ベストを着て、外国部隊を殺しなさい。それで、９歳のグーラム・ファルーク（Ghulam Farooq）はパキスタンの家を出て、自爆志願の少年３人と共に東部アフガンに向かいました。

　彼らはナンガルハル州（Nangarhar province）のトルカム国境検問所にタリバン２人が待っていると告げられました。そのかわりに、少年らの計画を知ったアフガン情報部のメンバーが国境で彼らを逮捕しました。「ボクらの導師は、ボクらが自爆攻撃をすれば、周りのすべての人々は死ぬでしょうが、ボクらは生き残ると言いました」と、ファルークは土曜日にアフガン首都の少年拘置施設に座りながら言いました。

　彼は自爆攻撃の容疑をかけられた５人の１人でした。すべての少年は青年期かそれよりも若く、アフガン情報部は記者とカメラマン、タリバンに敵意を抱かせる努力の一環として行われた５月７日の記者会見で、カメラマンの前を歩かせました。

　ファルークと他の少年たちは、職業訓練センターに似ている拘置施設に拘留されています。武装した警備員はおらず、施設は教室と遊び場があります。センターを訪問中に、ファルークは笑い、学校に行きたいと言いました。彼と他の少年は絨毯織り、大工工事とその他の手工芸を学ぶ機会を与えられています。施設には大勢の子供がいて、ほとんどが刑事事件で拘留されています。

　アフガン情報当局者は、タリバンは成人よりも徴用するのが簡単で、徴募員の言うことを何でも信じるので、若い少年に向かう傾向があると言います。「タリバンは彼らの陣営に子供たちを採用し、アフガンで自爆攻撃を行うために使っています」とアフガン情報部広報官、ラティフラ・マーシャル（Latifullah Mashal）は言いました。「これらの無辜の子供たちは騙され、アフガンに送られています」。

　タリバンはこの告発を否定します。１週間前に出た声明で、タリバン広報官、カリ・ユーエフ・アーマディ（Qari Yousef Ahmadi）は、武装勢力の行動規範は若者を軍事的な場所に戦士と共に置くことを禁じており、若者はアフガン警察と民間軍事会社と共に活動していると言いました。「こうした子供たちは、彼らの無教育と知識の欠如を利用して誘われ、敵の戦列に加えられているのです」

　事実、子供を自爆攻撃に使うのは十年近いアフガン戦争の中では新しい戦術ではないと、アフガン当局者は言います。確認された事例は少なく、自爆した者の死体を特定するのは困難ですが、マーシャルは最近は子供の活用が増えていると言いました。過去２ヶ月で、彼は子供の自爆犯は致命的攻撃２件を行いました。ファルークと３人の少年の逮捕は今月初めでした。マーシャルは、当局は自爆を実行しようとして思い止まった５番目の子供を拘留していると言いました。

　ファルークは、彼はパキスタンのペシャワール近くのモスクのイスラム法学者から、自爆犯になるよう説得されたと言いました。彼の話は独自に確認されていません。「彼は異教徒がカブールにいて、我々は彼らに自爆攻撃をしなければならないとボクたちに言いました」「ボクたちは、ボクらが住むペシャワール近くのカー・アバド（Kher Abad）のモスクで自爆ベストの使い方を教えられました」「ボクは家に帰りたい」「家族に会いたい」と彼は言いました。

　10歳のファジル・ラーマン（Fazel Rahman）は、ファルークと似たフレーズも使い、記者会見で話を補強しました。「モスクの導師は、カブールに異教徒がいるとボクたちに言い、誰もが聖戦を行わなければならない」が自爆犯自身は生き残る、と言われたとラーマンは言いました。彼は彼が生きているのは幸せだが、家に帰りたいと言いました。「ボクたちの家族はボクたちがどこにいるのかを知りません」。

　アフガン当局は、少年たちを釈放するかどうかを議論しています。

　子供が行った最新の自爆攻撃は５月１日に起きました。パクティカ州（Paktika province）のバルマル地区（Barmal district）の市場で12歳の少年が自爆し、４人を殺し、12人が負傷しました。

　死者の中に、攻撃目標とみられるシャキーン地区（Shakeen area）の新しい評議会長、シャー・ナワズ（Sher Nawaz）がいました。

　４月13日、13歳の自爆犯がクナール州（Kunar province）の地区アスマール地区（Asmar district）で自爆ベストを起爆しました。爆発は男子学生５人と、アフガン政府を支持する元軍司令官で、有力な長老、マリク・ザリーン（Malik Zareen）を含む10人を殺しました。警察は、部族長との会議で起きた攻撃の目標は、1980年代のソ連占領期にアフガン軍指揮官だったザリーンだったと言いました。

　アフガン教育省は、自爆攻撃を「イスラムに反し、非人道的」と呼びました。ハミド・カルザイ大統領（President Hamid Karzai）も、部族長を殺すことで、攻撃者はアフガン国民の声を沈黙させようとしていると言いました。

　今年初め、アフガン東部のガズニ州（Ghazni province）のイスラム法学者の命令で、14歳のノーア・ムハンマド（Noor Mohammad）は、アンダル地区（Andar district）の連合軍前哨基地に行きました。しかし、彼は手を引きました。

　彼もカブールで記者とカメラマンの前に連れてこられる一人でした。

　「タリバンはボクに拳銃の使い方、自爆ベストのボタンの押し方、オートバイの乗り方を教えました」「攻撃を行わなければならない日、ボクはやらないと決めました。ボクは（政府）軍に結びついて、攻撃を行いませんでした」。

　彼は、なぜ心を変えたかは決して説明しませんでした。

　２月26日に、別の事件がありました。情報部はパキスタンの少年と、アフガンとパキスタンのティーンエージャー２人を逮捕したと発表しました。彼らは自爆犯になることを強制されたと主張しました。

　パキスタンの南ワジキスタン（South Waziristan）から来た14歳のアクタル・ナワズ（Akhtar Nawaz）は、通りを学校から自宅に歩いて帰る途中で車に乗った６人の男たちに誘拐されたと言いました。

　「彼らはボクに自爆攻撃をしなければならないと言いました」「ボクは彼らにやりたくないと言いましたが、彼らは一緒に行くよう強制されました。彼らはボクに、アフガンに外国人がいて、ボクが自爆攻撃をしなければ、天国に行けないと言いました」。

　ナワズは、男たちは彼をさまざな場所に連れていき、拳銃の撃ち方と自爆ベストの起爆のやり方を教えました。彼の任務は、コースト州（Khost province）のアフガン軍施設で警備兵を撃ち、オートバイで中へ入り、爆薬を爆発することでした。彼は起爆ボタンが機能しない場合、拳銃で自分自身を撃って起爆しろと言われたと述べました。

　彼はコースト州へ車で行かされ、目標を見せられましたが、土壇場でやり抜かないと決心し、アフガン軍に出頭しました。

　まさに、これは「こども兵」の問題ですが、兵士として戦闘をさせるのではく、自爆テロに使うところがすこし違います。兵士は子供には油断するので、攻撃目標に近づきやすいのを利用しているのです。だから、戦闘員として使える前の年齢の子供を中心に、誘拐までして徴用するのです。

　記事が言うように、子供を自爆テロに使うのは珍しくありません。イラクでは、ダウン症の子供が利用された事例があります。成人女性が使われたこともあるのですから、子供に波及しても不思議はありません。まったく許し難い状況です。

　一方、この傾向は、ペトラウス大将が指摘した、タリバンの戦略変更を示しているかも知れません。それについて、私は以下のように紹介しています（記事はこちら）。

　先週、ホワイトハウスの四半期の議会報告書は、最近の目立った自爆攻撃の増加は、この傾向がより弱い政府、アフガン軍、民間人の目標に対するタリバンの戦術のシフトを反映しているかもしれないと言いました。また、タリバン指導者は戦略と資源に自信を持ったままで、春には激戦が予想されると警告しました。

　つまり、子供を自爆テロに使うのは許し難いことですが、それ自体はタリバンの弱体化を示しているかも知れないのです。事態は深刻でも、あるいは光明かも知れません。春になって、タリバンは攻撃を増やしていますが、以前ほど大規模な戦闘はしていません。子供を使うのは、小さな準備で、手っ取り早く戦果をあげるためかも知れません。