米陸軍予備役伍長が政治活動で懲罰か?
military.comによれば、米陸軍予備役のジェシー・トーセン伍長(Cpl. Jesse Thorsen)が軍服を着用している時に、アイオワ州党員集会で共和党候補者指名争い中のロン・ポール下院議員(Rep. Ron Paul)を公的に支持したことで、懲罰の可能性が出ています。
第416戦域工兵コマンドに所属するトーセン伍長は、CNNのインタビューとその後のポール支持者の集会でテキサス州の下院議員のために意見を述べました。彼の支持表明は米軍隊員が軍服を着ている間に政治活動に携わることを禁じた国防総省の方針に違反します。トーセン伍長は現役ではありませんが、軍服を着て大会に現れ、ポールを支持しました。
軍服を着ている間に候補者を支持することの禁止令は、統一軍規法典の下で処罰があり得る合法的な一般規則です。
CNNのダナ・バッシュ(Dana Bash)のインタビューで、トーセン伍長は彼の支持者にポールが不干渉主義の外交政策と海外基地に配備された兵士を帰国させる計画を支持すると言いました。「私はいま10年間軍務についており、10年間戦時の中にいました。私は少しの間、平時の陸軍を見たいと思います」とトーセン伍長は言いました。彼はアフガニスタンへの3回目の派遣に向かおうとしているところだと言いました。
記事の後半は省略します。支持者たちはトーセン伍長の発言は一部故意に放送されなかったと抗議しているようですが、発言の内容に問題があるのではありません。軍服を着用中に公に特定の候補者への支持を発言したことが軍規に抵触したことが問題です。
この規則を予備役兵が知らないとは思えません。以前に予備役隊員でもある州議員が自分の選挙用パンフレットに軍服姿の写真を掲載して問題視されたことがあります(過去の記事はこちら)。
しかし、今回の事件は根本的に意味が違います。議員が自分の経歴をパンフレットに掲載することに問題はなく、軍歴のある議員がそれを書いても問題はないと思われます。今回の事件は、明らかに軍人が特定の候補者への支持を表明したものです。似た事件は過去にもあり、フェイスブックでの投稿が問題視されたのです(過去の記事はこちら)。
このように、軍務に就く者には一定の「表現の自由」の制限があります。田母神俊雄元空幕長のように、自衛官に一般国民と同じ表現の自由があると主張することは妥当ではないのです。こうした規則は、自衛官を含めた武力を有する軍人に政治活動すべてを禁じるものではなく、軍服を利用した威圧を防ぐための工夫です。米軍は連邦軍に警察活動を禁じており、有事に司法警察官の身分になる自衛官よりも厳しい制限を設けています。
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