海兵隊グアム移転に関する報道

2012.2.29


 military.comによれば、沖縄の海兵隊のグアム移転には数年がかかる見込みです。

 最低でも、米軍はグアムに必要な訓練射撃場を建設するのに2年間かかり、建設作業はさらに長いと海軍グアム統合計画局(the Navy's Joint Guam Program Office)は言いました。

 一方で、4,700人以上の隊員と軍人家族の増加を支え、下水処理施設が改善される方法と時期について大きな疑問が残ります。アメリカと日本は今月初め、沖縄の海兵隊をグアムへ移動する軍の改編に関する新しい合意について論じ始めました。この努力は普天間航空基地のかわりに新しい海兵隊空軍基地を建設することに対する沖縄県民の反対によって、何年も延期されていました。現在、両国は海兵隊を沖縄の南東1,400マイルの米領域へ再配置する前に解決を待たないと言います。

 グアム計画局長のダン・カフ大佐(Capt. Dan Cuff)は、海兵隊が島へ移動する前に訓練用射撃場が必要で、日米がどれだけの隊員を島へ動かすかを決定するかに関係なく不可欠だと言いました。どこに実弾射撃場(拳銃、機関銃、手榴弾用)を作るか、海軍は新しい環境調査を始めたところです。

 祖先の土地に射撃場を造るために軍が最初に選んだ場所は市民グループによって訴訟を引き起こしました。昨年、海軍は計画を調査し、見込みがある他の土地を検討すると発表しました。研究は2014年早くに、海軍が最終的な位置を発表する時に終わらなければなりません。現在グアム東海岸の祖先の土地に近いパガット(Pagat)や軍がすでに8,000エーカーの火薬庫を持っている南部が検討されています。

 場所が決まると、射撃場を完成させる時間枠はに建設現場の準備がどうなるかに依存しており、海兵隊の再配置計画全体は現在、日米で作業中だとカフ大佐は言いました。「現時点で、私はそれがどれだけかかるかを推測したくありません」「我々はそれが必要となる前に何も建設したくありません」。

 日米の防衛高官と外交官は今週、東京で沖縄の海兵隊を減らし、グアムに海兵隊を増やす新しい合意について交渉を続けました。新しい合意の詳細は来月公表される見込みだと、日本の野田佳彦総理は月曜日に沖縄を訪問中に言いました。

 一方で、グアムのために計画された、海兵隊が到着する前に下水処理施設やその他の施設を改良するために日本が資金を出した約7億ドルを含む、予備工事は保留されたままです。

 米議会は建設計画を米軍の再編計画がさらに調査され、国防総省が再編のマスタープランを提供し、海兵隊がこの地域での理想的な軍事力を持つまで凍結しました。上院は今年沖縄から海兵隊を移す計画について独自の評価を命じる予定ですが、下院の必要条件が満たされる場合は行わないかも知れません。議会の必要条件と二国間交渉が迫りますが、グアムが海兵隊を受け入れるための準備時間の長さは決定されていません。「何であれタイムラインや予定日を決めることは現時点では不適切です」とカフ大佐は言いました。

 グアムの軍増強委員長、ジュディ・ガザーツ州議員(Guam Sen. Judi Guthertz)は、訓練施設と公共施設を3年以内に建設できると考えていると言いました。「私はそれを成し遂げるのが非常に難しいとは思いません」。過去に、訓練射撃場はその領域について議論を巻き起こしましたが、現存の海軍火薬庫やその周辺を検討するという決定は広範な大衆の反対と計画の遅延を避けたと彼女は言いました。しかし、海軍はチャモロ族(グアム先住民)に返還される予定の東海岸の一区画も検討していると、ガザーツ州議員は言いました。


 この記事に日米の報道姿勢の違いを感じないでしょうか。

 日本ではワシントンが普天間移設を決断するよう日本政府に圧力をかけている話しか報じられていませんが、アメリカでは射撃場と下水道の工事が主な課題だと報じています。そもそも、マスタープランがまだ決まっていないので、準備工事すらできない状態なのです。これは日本ではなく、アメリカ側の問題です。私は国内報道で射撃場と下水施設の話が報じられるのを目にした記憶がほとんどありません。(射撃場の過去記事はこちら 

 国内メディアは、普天間基地移設こそ海兵隊のグアム移転の鍵であり、これを早く決めないと日米関係も悪化するので、沖縄が犠牲になることはやむを得ないと、暗にほのめかしているようにしか私には思えません。これは日本人の一番悪い部分だと思います。

 確かに普天間基地の辺野古移転が決まれば、アメリカは安心して作業を進められるでしょう。しかし、移転計画のほとんどが決まっておらず、その原因は射撃場建設に関する地元の反対があります。下水施設は何人がグアムに移転するかで決まることとは言え、アメリカ側でできる準備も遅れているのです。以前に当サイトで状況を紹介してから、事態はほとんど進展していません。

 ガザーツ州議員の3年以内という発言は、確たる根拠があるというよりは、現時点ではそれくらいの数字をあげておきたいという気持ちの表れだと言えます。

 それにしても、しばらくぶりにグアム移転の進行状況が報じられ、状況が分かって安心しました。


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