アフガン人虐殺米兵はクウェートに移送

2012.3.16


 military.comによれば、アフガニスタン人16人を虐殺した米兵はクウェートに空輸され、怒ったアフガン議員たちは戦略的パートナーシップ合意に調印すべきではないと言いました。

 アメリカは容疑者を水曜日の夜に空輸したと米政府当局者は言いました。米軍はこの転送はアフガンで事件の裁判を行う可能性を排除しないと言いました。「この事件の殉教者家族、カンダハルの人々とアフガンの人々は彼がアフガンで公に裁判にかけられることを望んでいました」と、発砲事件の調査委員会のメンバーでカンダハルの議員、モハンマド・ナイーン・ラライ・ハミザイ(Mohammad Naeem Lalai Hamidzai)は言いました。アメリカはアフガン指導者に異動することを知らせ、「彼らは理解しました」とアフガン駐留米軍副司令官、カーチス・スカパロッティ中将(Lt. Gen. Curtis Scaparotti)は言いました。容疑者の移動はアメリカに公判前の拘禁を提供し、法的代理人のアクセスと公正で適正な司法手続きを確保すると、彼は言いました。アフガン政府当局者は、転送についてコメントの要請に応じませんでした。国防総省は、アフガンには適切な拘留施設がないと言いました。クウェートでは公判前後の拘留者を控訴する「戦域野戦拘留施設(Theater Field Confinement Facility)」として知られる拘留部隊があると、陸軍広報官デビッド・パターソン中佐(Lt. Col. David Patterson)は言いました。彼は事件の詳細をまったく確認しませんでした。

 別のカンダハル議員、アブドル・カリク・バラカルザイ(Abdul Khaliq Balakarzai)は、カルザイ大統領は兵士の移動に戦略的パートナーシップ合意への調印を拒否して対応すべきだと言いました。「裁判がアフガンで行われるのなら、国民はアメリカ人がこの兵士を嫌いで、彼を罰したがることを知るでしょう」「しかし不幸にも、アメリカは我々の要請を無視しました」。事件が起きたパンジャイ地区の長老、ハジ・アブドル・ガニ(Haji Abdul Ghani)は、この移動が「人々を立ち上がらせ、アフガンとアメリカの間の敵意を増す」と警告しました。

 レオン・パネッタ国防長官(Defense Secretary Leon Panetta)は水曜日にアフガンを訪問しました。彼の訪問は、長官の飛行機が着陸した時にアフガン人の男が盗んだトラックで飛行場に押し入り、それから火に包まれて車から脱出した奇怪な事件によって台無しになりました。スカパロッティ中将は、男が外国軍のために働いている通訳で、国防長官ではなく、タラップに集まった海兵隊員のグループを狙ったと考えていると言いました。彼は飛行機に国防長官が乗っていることをシルのは難しかったと言いました。「煙の塊があがり、彼は火に包まれて出てきました」。男は木曜日に広範囲熱傷で死んだと、米軍指揮官は言いました。パネッタ長官の関係者は誰も怪我をしませんでした。国防長官は航空機を降りた後で事件を知らされました。運転手が死ぬ前に彼から情報を得ることはできませんでした。匿名の米軍当局者は、彼がトラックを盗むのを止めようとした英軍兵が負傷したと言いました。アフガンの男は走り去る時に英軍兵士に車でぶつかりました。事件は調査中です。


 当然の成り行きで、当然の結果が出ています。バグラム空軍基地には巨大な収容施設がありますが、ここにはアフガン人の作業員や軍人が出入りすることもあり、容疑者の安全を確保できません。クウェートに移動すれば専門部隊もいて、アフガン人が近寄る余地はなくなります。

 しかし、これはアフガン人の怒りに火を注ぎます。アメリカへの敵意は高まる一方です。何をやっても駄目という構図です。

 米軍はパネッタ長官が到着した時の事件は、長官を狙ったものではないと見ているようですが、その可能性は完全には排除できないと思われます。意識しないところで米兵が情報を犯人に与えてしまった可能性もありますし、米軍人の動きから重要人物が来るらしいと察知した可能性もあります。あるいは、コーラン焼却への抗議だった可能性もあります。長官のタラップを狙ったつもりで、違うところに行った可能性もあります。どちらにしても、米軍への敵意は彼らのために働くアフガン人の間にもあり、そんな環境で米軍は作戦を行わなければならない状況なのです。


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