現場周辺村人は虐殺を報復と確信

2012.3.22


 military.comによれば、アフガニスタンでロバート・ベイルズ2等軍曹(Staff Sgt. Robert Bales)が16人を殺害した村の近くの住人は、IED爆発のあとで米兵が彼らを壁に立たせて、子供も攻撃の代償を払うことになると言ったと言いました。

 住人はAP通信とアフガン政府の両方に、爆弾事件について似た説明をしています。それは3月7日か8日に起こり、米兵を負傷させました。住人は爆弾事件の数字後に起きた16人殺害は爆弾事件の報復だと確信していると言いました。村民の説明は独自に確認できませんでしたが、彼らの主張は米兵の銃撃がIEDの報復のために起きたたという主張はこの地域で広く知れ渡り、事件を証言する政治家がハミド・カルザイ大統領(President Hamid Karzai)に述べています。

 ベイルズの弁護士もベイルズがこの地域の爆弾事件に動機づけられたことを示唆しました。しかし、アフガン駐留米軍は調査が進行中であるとして、爆弾事件についての情報を提供したり、事件が起きたことを認めることを拒否しました。彼は米軍が村民を報復すると脅したことについてコメントを拒否しました。「その原因となったり、関係しているかも知れない可能性と同じく、発砲事件は調査されます」と、ジミー・カミングズ中佐(Lt. Col. Jimmie Cummings)は言いました。

 モコヤン村(Mokhoyan)の住人、アハマド・シャー・カーン(Ahmad Shah Khan)は、爆破事件の後、米兵とアフガン軍のカウンターパートが彼の村に来て、村人を壁を背にして立たせたと言いました。「彼らは我々を撃ちそうだったので、私はとても恐いと思いました」「それからNATO軍兵士は通訳を通して、子供すらこの代償を払うことになると言いました。いま、彼らはそれをやり、復讐をしたのです」。カーンの隣人はAP通信に似た説明をして、カンダハルの政治家アブドル・ラヒム・アユビ(Abdul Rahim Ayubi)を含むアフガン当局者数名は攻撃を受けた2つの村は同じことを言っていると言いました。現地に行った政治家の一人、モハンマド・サルワル・アスマニ(Mohammad Sarwar Usmani)は、アフガン軍が3月8日にモコヤン村の近くで爆発が起きたことを認めたと言いました。

 3月13日、アフガン兵のアブドル・サラム( Abdul Salam)はAP通信記者に、発砲事件が起きたパンジャイ地区(Panjwai district)の道路上に大きなクレーターを作った爆発の現場を見せました。兵士は爆発は3月8日に起こったと言いました。サラムは村の男を集めるのを手伝い、兵士は彼らに話しましたが、彼はそれが聞こえるほど近くにはいなかったと言いました。

 パンジャイ地区の長老、グーラム・サソール(Ghulam Rasool)は、3月16日にカルザイ大統領との会議で爆弾事件の説明をしました。「事件の後、彼らは破壊された戦車の残骸を負傷者を連れて行きました」「その後、彼らは爆発現場の近くの村へ戻ってきました」「兵士はすべての人たちに家やモスクから出るように言いました」「アメリカ人は村人に言いました。『爆弾が我々の車の下で爆発した……我々はこの事件に少なくとも君たち20人を殺すことで報復する」』「これが彼らが村で女子供を殺して復讐したと私たちが言う理由です」。

 ベイルズの弁護士、ジョン・ヘンリー・ブラウン(John Henry Browne)は、依頼人は3月9日の爆発で仲間が脚を失ったので動揺していたと言いました。この爆発が村人がいう爆発と同じかは不明です。ブラウン弁護士はベイルズが事件の2日前に、爆弾が友人の脚を吹き飛ばしたと言ったと言いました。

 モコヤン村の村民は、発砲事件が復讐だったと確信しています。村に住むネーク・モハンマド(Naek Mohammad)は、3月8日に爆発音を聞き、外に出たと言いました。彼と隣人が何が起きたかを話していると、アフガン兵が彼らに壁に背を向けて並ぶように言われた村から来た男たちに加わるよう命じました。「ある村人は何が起きたのかと尋ねました」「アフガン兵は彼に『黙ってそこに立っていなさい』と言いました」。モハンマドは米兵が通訳を通じて話し、「私は君たちが関与して、君たちが武装勢力を支援していることを知っています。だから今、君たちは代償を支払うことになります……君たちと君たちの子供がこの責任を問うことになります」。脅威を示した兵士を特定できた兵士はいませんでした。


 長老のサソールが言う「戦車」は多分、装甲車のことでしょう。アフガンには戦車は僅かしか配備されていません。

 村落安定化プログラムというのは、こうやって村人を脅す仕事のようです。まるで、第2次世界大戦でパルチザンの攻撃に報復するドイツ軍みたいです。アフガン政府が発砲事件が特殊部隊による報復作戦だった可能性を考えるのも無理はありません。事件はそれだけ最悪のタイミングで起きたのです。

 それはともかく、この爆弾事件がベイルズに影響を与え、事件を起こさせたかは何とも言えません。米軍筋の情報はベイルズ個人に責任を押しつけたい感じがします。薬物の可能性もありますが、これは逮捕後にすぐやっているはずで、陽性ならすでにリークされているはずです。ベイルズが大嘘つきで、故意に虐殺して記憶がないと言っている可能性も否定はしませんが、見込みはなさそうです。誰かがベイルズを眠らせて基地から連れ出し、その間に彼の銃で事件を起こし、アフガン兵が目撃したベイルズは替え玉だったという、推理小説もどきの陰謀物語が最も筋が通ることになります。しかし、これはあり得ません。かつて夢遊病で徘徊している間に殺人を犯したとして無罪を主張した被告人がいましたが、裁判では認められませんでした。

 こうした場合、早急に判断をくだすのは危険です。まだ分かっていない事実があるかも知れません。


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