米交渉チームが成果なくパキスタンから帰国
military.comによると、パキスタンと補給ルートを再開するための交渉を1ヶ月以上行った米チームは合意を得られずに帰国したと国防総省広報官、ジョージ・リトル(George Little)は言いました。
最近、パキスタンの将軍が国防総省高官と会うことを拒否した後で、アメリカはチームを呼び戻しました。パキスタンの米大使館広報官は「我々はパキスタンが準備でき次第、合意を結ぶ用意をしたままでいます」と言いました。チームの一部は週末にイスラマバードを発ち、残りは月曜日に発ちました。「彼らは状況が変わればすぐに戻る準備ができています」とリトル報道官は言いました。
国防総省高官、ピーター・ラヴォイ(Peter Lavoy)は週末にパキスタン当局者と会談しましたが、パキスタン軍参謀長アシュファク・パルベズ・カヤニ大将(Gen. Ashfaq Parvez Kayani)に会う許可を得られませんでした。パキスタン外務省はコメントを拒否しました。
一方で、アフガニスタンの副指揮官、カーチス・スカパロッティ中将(Lt. Gen. Curtis Scaparrotti)はパキスタンとの関係悪化を認めながらも、国境閉鎖は作戦に影響を及ぼさなかったと言いました。スカパロッティ中将は両国の軍の関係向上に努めていると言いました。「我々は現在、あの時よりも希望を持っています」。中将は別の補給ルートを作り、必要なものを得られていると言いました。
米チームは6週間パキスタンと交渉しましたが、リトル広報官はどれだけの進展があったかを言うことを拒否しました。「短期間チームを帰国させるという決定に至りました」「我々はすぐに彼らを再び戻す準備ができています」。
国境を再開するための交渉でいくつかの傷害がありました。パキスタンは死者に対する謝罪を求め、ワシントンは遺憾の意を表明しただけでした。パキスタンが領域内を横断するトラックに課す料金に関する厳しい交渉もありました。11月の攻撃の前はトラック1台について250ドルでしたが、5月末にパキスタンはトラック1台に5,000ドルを要求し、アメリカは500ドルで応じました。月曜日の段階でこの問題がどうなたかは不明です。
先週、レオン・パネッタ国防長官(Defense Secretary Leon Panetta)はパキスタンのライバルであるインドとアフガニスタンを訪問し、各地でパキスタン政府の対テロ戦への協力に関して不満を口にしました。また、オサマ・ビン・ラディン襲撃の際にパキスタン政府に通知しなかったことを認めました。
パキスタンが意外にも交渉で粘っています。これまで領域内での無人機の攻撃は批判しながらもパキスタン政府は空爆を容認していました。しかし、パキスタン軍に被害が出た途端に態度を一変させました。
トラック1台に5,000ドルは法外な数字です。アメリカとしては倍増した500ドルが打倒だと言いたいでしょうし、それくらいが相場だと思われます。パキスタンも5,000ドルで妥結したいと考えてはいないでしょう。もう一粘りして1,000ドルというところが本当の妥協線ではないかと想像します。
アメリカが中央アジアに別ルートを開設しようとしている訳も、これで納得です(関連記事はこちら)。
パネッタ国防長官の不満は当然のものとはいえ、今でも対テロ戦に協力が得られると考えるのは「甘え」みたいなものだと思います。同時多発テロ直後はアメリカには真剣な同情が寄せられましたが、現在はそうではありません。いまや、各国はアメリカからいくら特需をむしり取れるかしか考えていないのです。こうした面でアメリカは純真すぎ、真面目すぎると言えます。
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