シリア反政府派が北部と首都で攻撃
military.comによれば、シリアの反政府派は木曜日に、北部の戦略的に重要な空軍基地と、政府軍が先月から確保しようとしている首都郊外で激戦を行いました。
人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、反政府派はイデリブ州(province of Idlib)のタフタナズ空軍基地(Taftanaz air base・kmzファイルはこちら)を攻撃してから退却しました。国営SANAニュースは、政府軍は基地を守り、反政府軍に大損害を与えたと言いました。人権団体は、反政府軍は木曜日早くに、基地を占領するために攻撃を再開したと言いました。この基地は数ヶ月、反政府軍の攻撃に抵抗してきました。反政府派は空港とイデリブ州とアレッポ州に5ヶ所ある軍用飛行場を攻撃する戦略を進め、反政府軍にとって最大の障害である政府軍の空軍力を減退させようとしています。
人権団体と地域調整委員会は、ダラヤ(Daraya・kmzファイルはこちら)を含むダマスカス郊外数カ所で、戦闘と空襲、砲撃を報告しました。政府系新聞「al-Watan daily」は木曜日に、政府軍がダラヤの反政府派拠点を破壊し、大損害を与え、その日の内に安全を宣言したと報じました。ダラヤは重要な場所にあり、政府軍がそこを奪うことは、首都防衛を後押しします。
この郊外は戦略的価値のあるメッツェ軍用空港(military air base of Mazzeh)から数キロにあります。そこは、政府機関、総合情報部本部、内務省があるファー・ソーサ(Kfar Sousseh)に接しています。「al-Watan」紙は、数千人の過激派、ジャバット・アル・ヌスラ(Jabhat al-Nusra)がダマスカスを攻撃する準備でダラヤに潜伏したと言いました。
空爆の一つはダマスカス郊外のドーマ(Douma)の建物を直撃しました。ビデオ映像は、ひどく損傷した最上階と負傷者が車とピックアップトラックで急いで離れるところを示しました。負傷者の多くは埃で覆われていました。人びとは通りで破片と引き裂かれた金属で覆われた負傷者を救出しようと急いでいました。人権団体と地域調整委員会は、ドーマ付近で木曜日に8人が死亡したと言いました。
別の空襲で、アレッポ州のヘイヤン(Hayan)で数十人が死傷したと人権団体が報告しました。人権団体は、反政府軍がハマ州(province of Hama)の発電所を攻撃したと報告しました。国営テレビは政府軍が攻撃者を撃退したと言いました。人権団体と地域調整委員会は、南部のダラー州(province of Daraa)で、別の戦闘と砲撃があったと言いました。
BBCによれば、ドイツとオランダの防空ミサイル、パトリオットの部隊が1月末までにトルコに到着します。オランダ軍は22日までに300人の兵士が到着し、ドイツも同じ頃に到着する予定だということです。
記事は一部を紹介しました。
タフタナズ空軍基地がまだ生きていたとは意外でした。もっと南部の地域で反政府派が攻勢をかけて成功しているのに、ここが生きている以上、アレッポ市街への空爆が続くことになります。タフタナズ空軍基地はヘリコプター基地で、ここを陥落させれば、ヘリコプターによる空爆は防げることになります。重迫撃砲や榴弾砲があれば、すぐにでも陥落するような基地ですが、反政府派にはほとんど手に入っていないのでしょう。他の基地が集団で投降しているように、基地の備蓄物がそろそろ涸渇する頃です。トルコへの安全な出国を条件に、武装解除に応じるように交渉するのも手です。反政府軍に大損害を与えたという話は、大本営発表程度に聞いておけばよい話です。追い詰められているのはこの基地の方です。
首都のダラヤでの戦闘は、昨年11月末から報告されるようになりました(関連記事はこちら 1・2)。ここはダマスカス防衛の要のような場所で、ここが陥落すればメッツェ軍用空港も陥落し、隣接する官庁街も陥落します。ここまで来れば、さすがにシリア政府内にも厭戦気分が蔓延するでしょう。
最後には、首都南西部と西部にある広大な軍の用地を政府軍の基地として、ダマスカスで市街戦を展開することになります。もともと、イスラエルとの戦争を考えていたため、政府軍の基地は西部に集中しているのです。
それでもアサド大統領が降伏しないのなら、彼は大統領宮殿に家族と側近を集め、迫り来る反政府派と宮殿に化学兵器を撒いて、最後の自爆攻撃に出るしかなくなります。それはまさに狂気の決断でしょう。
当初、反政府派はヒット・アンド・ラン戦術をとっていました。拠点の防衛に固執せず、政府軍が集まってきたら撤退して、別の場所で活動するという方針です。これは味方の損害を防ぎ、敵に出血を強いるために効果的です。最近では、明確ではないものの、戦線が形成されるようになりました。アナリストたちも戦術の変化を指摘するようになりました。この傾向は時を経ると共に強まってきていて、すでに既成概念になっています。
最もよいのは、ダマスカスで早期に決着が着くことです。北部から反政府派が南進してくるのを待てば、かなりの時間が必要です。北部からの圧力はダマスカス市街戦を有利に進めるためにも必要で、どの戦線の戦果も全体の戦果に関わっています。
防空ミサイル部隊は、すでにオランダが到着していると思っていましたが、まだだったようです。1月末にトルコの防衛は整います。その後、トルコが反政府派への支援を強化するかどうかにも注目が必要です。防空体制が整った段階で、トルコが反政府派に直接的な武力支援を行う可能性は否定できません。
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