シリアの反政府派地域の民生がさらに悪化

2013.12.5


 alarabiya.netによれば、シリアの反政府派地域の子供たちは世界保健機構(WHO)から僅かにしかポリオワクチンを受け取っていません。

 人権活動家は14年間で初めて、急性弛緩性まひ60件が報告され、シリアの子供にポリオが流行していると警告し、11月24日にオンラインの嘆願書を開始しました(関連記事はこちら)。「WHOはこの問題を。一ヶ月にわたり、解放された領域から、シリアの医療代表者と議論しています。行動すべき時です」と彼らは言いました。

 今のところ430人の署名がある嘆願書は、解放された地域のシリアの子供を助けるキャンペーンを後援するために、5,000人の署名を集めることを狙っています。

 子供たちがワクチンを受ければ、ポリオは予防できます。しかし、接触性伝染病は治りません。シリアの予防接種率は戦前の90%以上から68%に落ち込みました。

 活動家は「現場の極度の困難と危険状態に関わらず、医療従事者と地元評議会のメンバーが、解放地域の5歳未満の子供全員を対象とした戸別訪問のワクチン接種キャンペーンに乗り出す準備をしました」と言いました。

 反政府派のアレッポ医療センターは月曜日、新しいポリオ感染例がアレッポ州北西部の郊外で2件が報告されたと言いました。11月下旬、より多くのポリオ感染例が2つの新しい地域(首都ダマスカスとアレッポ周辺)で確認されたとWHOは報告しました。さらに、デリゾール州(Deir al-Zor)で15件のポリオ感染例があり、さらに2件がダマスカス郊外とアレッポで確認されました。

 alarabiya.netによれば、戦闘と検問所が救援物資を妨げ、少なくとも百万人のシリア人が飢えていると、国際赤十字社は月曜日に言いました。赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の危機管理チーフ、サイモン・エクレシャル(Simon Eccleshall)は「控えめに見積もって、食糧のない人は百万人です」と言いました。

 IFRCの地元メンバー、シリア・アラブ赤新月社(SARC)は、シリアでの国際活動の主役です。戦前の人口2,100万人の3分の1は支援に頼っています。活動は戦闘による攻撃を受け、両者の検問所がハードルをあげる中、SARCの3,000人のボランティアの32人が死亡しました。SARCはシリア国土の85%に定期的にアクセスできるだけです。SARCは600万人の国内難民に定期的な補給品を提供します。「1年間近く、戦いとダマスカス郊外であるために何ヶ月も補給品を受け取っていない多くの地域があります」と、IFRC公報のブノワ・カルペンティエル(Benoit Carpentier)は言いました。「明らかに、最悪の状況は包囲された地域と暴力が激しい地域です。多くの人たちが2年以上、収入がまったくないことも思い出さなければなりません。母子家庭は食糧不安に直面するもうひとつの大きなグループです」。

 エクレシャル氏は、冬が始まり、支援を必要とする人数は悪循環になるかも知れないという重大な懸念があります。首都ダマスカスもアレッポも雪が降ります。

 300万人が近隣国に逃げ、120,000人以上が殺された紛争から脱出しました。

 IFRCはシリアの支援の訴えを、5,300万スイスフランから1億600万スイスフラン(5,800万〜1億1,700万ドル)へ倍増しました。その3分の1があっても、それ以上がすぐに手に入らないと、2月末までは食糧支援を提供できません。

 支援団体はほぼ3年のシリア内戦後の「共感疲れ」を恐れています。「今日、我々が抱えている大きな問題は、世界中の多くの人たちにとって、この状況が当たり前になっていることです」とIFRC事務次官ウォルター・コット(Walter Cotte)は言いました。「我々は、毎日人々を殺している人道危機があることに、本当に光をあてる必要があります」。

 エクレシャル氏は、1月22日にジュネーブで行われる和平会議で、支援団体は人道危機が議題の中心であることを望んでいると言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 前から指摘しているように、シリアの民間生活は悪化する一方です。もはや、この冬に起きる惨劇を防ぐ手立てはありません。和平会議は遅れ、その成果は期待できません。

 すでに何度も書いているので繰り返しませんが、我々には立派な国際平和を追求するための概念があります。組織もあり、誰もが平和が一番であることを理解しています。しかし、いま気にしているのはシリアの状況ではなく、今年のクリスマスプレゼントをどうするかです。

 紛争への対処は、もっと正確な分析が必要で、それに基づいてマニュアル化し、即時体制で対応できるようにしなければなりません。


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