デンプシー議長が委員長に公開書簡
military.comによれば、マーチン・デンプシー統合参謀本部議長(the Joint Chiefs of Staff Gen. Martin Dempsey)は、カール・レヴィン上院軍事委員会議長(Carl Levin)に公開書簡を送り、先日のジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)の質問に答えました。
レヴィン議長とマケイン議員は、さらに追加の質問をデンプシーに送りました。マケイン議員はデンプシー議長がもう一期議長を務めることに反対しないと言いました。
この書簡はレヴィン議長のホームページ上に公開されました(書簡はこちら)。以下にこの中から興味深い点を抽出してみました。
●●●●●●●●●
現時点では、米軍は人道支援、シリアの隣国への安全保障に関する援助、反政府派への非致死性の援助、トルコとヨルダンへのパトリオットミサイル部隊の派遣に限られています。F-16を含む作戦司令部と追加的能力がヨルダン防衛のために置かれています。
この他に次のオプションが考えられます。
反政府派への訓練、助言、支援
非致死性の部隊で反政府派に武器から戦術までの訓練と助言を行う。情報から補給までの支援を行うことも可能。兵数の規模は、数百から数千人になり、費用は様々ですが、年間5億ドルと見積もられます。このオプションには、シリア国外のパートナー国から安全地帯と支援を必要とします。この成果は徐々に現れるでしょう。このオプションには、過激派に追加的な能力を渡す、越境攻撃、内部の者による攻撃、不注意による戦争犯罪への関与などのリスクがあります。
限定的な遠隔攻撃
このオプションは、シリア軍の軍事作戦、最新兵器の増加、自衛を不可能にするため、致死性の部隊を用います。攻撃目標は、価値の高いシリア軍の防空部隊、地上部隊、ミサイル、海軍部隊と補給施設と指揮系統です。航空、ミサイルシステムは数百の目標を攻撃できます。必要な部隊は、多数の航空機、水上艦、潜水艦などです。費用は数十億ドルでしょう。次第に、シリア軍は大幅に衰退し、政権からの離反が出るでしょう。シリア政府が資産を分散することで攻撃をやり過ごすリスクがあります。関連する攻撃が考えられ、シリア国内の民間人と外国人に付帯的被害が出る危険があります。
飛行禁止区域の設置
このオプションは、シリア軍が軍用機で爆撃したり、再補給を行うために軍用機を使うことを防ぐために致死性の部隊を使います。シリア軍の最新型の統合防空システムを無力化することで、シリア上空に制空権を拡げます。敵航空機を撃墜し、飛行場、地上の航空機、補給施設への攻撃も行います。数百の地上機、艦載機、情報、電子戦部隊、補給と通信のためにその他の部隊を必要とします。費用は最初に5億ドル、その後、毎月平均10億ドルです。シリア軍の反政府軍拠点への爆撃、空軍力による部隊を維持する能力をほぼ壊滅させるでしょう。航空機を失う恐れがあり、それは救出部隊の人員を投入する必要が起こります。シリア軍は圧倒的に迫撃砲、大砲、ミサイルに依存しているので、暴力を減らしたり、流れを変えることに失敗する可能性もあります。
緩衝地帯の設置
このオプションは、トルコやヨルダンの国境のような特定の地域を守るため、致死性部隊、非致死性部隊を用います。反政府軍は編成や訓練のために、この地域を利用できます。これらは人道支援の配給のための安全地帯にもなります。致死性部隊は、航空機、ミサイル、地上攻撃からこの地域を守るために必要です。限定的な飛行禁止区域の設置が必要です。地域を守るのを支援するために、シリア国外に置くとしても、数千の米軍地上部隊が必要です。地上部隊と限定的な飛行禁止区域を一緒にすると、費用は毎月10億ドルを超えます。徐々に反政府派の能力は向上するでしょう。民間人への被害も減り、ヨルダンとトルコへの圧力も弱まるでしょう。飛行禁止区域の場合に、シリア軍が地域内へ地上攻撃を行う問題が加わり、密集しているために難民への被害が出る恐れがあります。この地域は過激派の作戦基地になる可能性もあります。
化学兵器の管理
このオプションには、化学兵器が使われるのと拡散を防ぐために致死性部隊を用います。シリアの大量備蓄を破壊し、移動と引き渡しを防止するか物資を押収し、安全化します。少なくとも、このオプションには、航空機、艦船、潜水艦その他の部隊が関係する航空機とミサイルの攻撃と合わせて飛行禁止区域が必要になるでしょう。数千人の特殊作戦部隊と地上軍が重要施設を襲撃して、安全化するために必要です。費用は毎月10億ドルを超えるでしょう。全部ではない一部の化学兵器は管理できるでしょう。過激派グループの手に化学兵器が拡散することも防げるでしょう。シリアの化学兵器の貯蔵物と輸送システムすべては管理できないので、過激派がより手に入れやすくすることを許すかも知れません。リスクは飛行禁止区域に米軍地上部隊を加えたものと似ています。
記事は一部を紹介しました。
議会でのデンプシー議長の答えに怒り狂ったマケイン議員でしたが、議長が公開書簡を出したことで、怒りは収めたようです(関連記事はこちら)。デンプシー議長が先手を打つのに成功しました。
この書簡は軍人の防衛顧問としての、極めて冷静な意見でしょう。特に、恣意的にねじ曲げたような見解は含まれていません。飛行禁止区域の部分に、ロシアの対空ミサイルの影響が書き込まれていない点は少し気になります。十分に対応できるという自信でもあるのでしょうか?。
レヴィンとマケインも負けていません。彼らはさらに書簡を出しました。これについては、時間がないので省略します。特記すべき事があれば、あとで書きます。時間がないので、いまはここまでにします。
|