国連の化学兵器報告書が映像の砲弾を特定

2013.9.17


 BBCによれば、国連はシリアで化学兵器が使われたことを、明確、客観的に確認しました。犯人は特定しなかったものの、国連報告書は先月、ダマスカスでサリンがロケット攻撃に使われたことを確認しました。

 それよりも早く、国連査察官は2011年9月以降のシリアの14ヶ所の化学兵器攻撃を証明しようとしていると言いました。(以上がBBC)

 国連の報告書はpdfファイルで公表されています。(報告書はこちら

 30項目の指摘から構成されている報告書の内容は国内報道でも、かなり詳しく報道されているので、気になる部分だけを取りあげます。簡単な紹介なので、もっと詳しく知りたい方は原文を読んでください。

22. (p4)
8月21日の午前2時〜午前5時まで、ダマスカスは気温が低下しており、空気は上から下へ動き、重たいガスが地表に留まり、シェルターになる建物等の低層階に貫通するため、化学兵器の攻撃に最適でした。

23. (p4)
使用された運搬システムに関する情報の収集は調査の核心でした。複数の十分な化学剤を搭載できる地対地ロケットが調査した場所で特定され、記録されました。ロケットの多くやロケットの破片から採取されたサンプルから、サリンが含まれることが確認されました。

26.(p5)
血液、尿、毛髪サンプルは、調査団が選んだ中毒症状を示した36人中34人の患者から採取しました。陽性の血液、尿サンプルはサリンに被爆した決定的な証拠です。

28. (p5)
特に、調査団が収集した環境的、化学的、医学的サンプルは、神経剤サリンを積んだ地対地ロケットが、アイン・タルマ(Ein Tarma )、モアダミヤ(Moadamiyah)、ザマルカ(Zamalka)、ゴウタ(Ghouta)で使われた明白で、信頼できる証拠になります。

 先日、読者が知らせてくれた正体不明のロケットについて、調査団はサリンを搭載した化学兵器と断定し、18ページから説明しています(過去の記事はこちら )。調査団は、このロケット弾をザマルカとアイン・タルマで調査しました。

 発見された残骸から、ロケット弾は2種類と分かりました。調査団は砲弾のサイズから、着弾地点1と2は、M14の変種で、着弾地点4は330mmロケット弾と特定されました。

 着弾地点1の砲弾の方位角は215度、そこから65m離れた着弾地点2は215度で、これは、単一・多連装ランチャーから発射されたロケットの分散パターンに完全に一致します。

 M14変種の弾頭の容積は、容器の厚みとその他の部品は考えずに56リットル(誤差±6リットル)でした。


 あの変な形のロケット弾は、やはり化学兵器でした。330mmロケット弾はともかく、M14ロケット弾は、一般的なロケット弾の弾頭を化学剤のタンクに取り替えただけです。サリンをエアゾル化する方法は分かりませんが、かなり単純な兵器です。この形では、遠くまで飛びません。これをあえて使ったのは、反政府派の仕業に見せかけるためかもしれませんが、これしか所持していなかった可能性もあります。シリア軍にして、この程度のレベルだということには驚かされます。


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