クルド軍がシンジャル山脈の包囲を突破

2014.12.20


 BBCによれば、イラク北部のクルド軍はイスラム国に対する、これまでで最大の勝利を主張しています。

 彼らは、8月以来、ヤジディ派多数が退去させられたシンジャル山脈(Sinjar・kmzファイルはこちら)の包囲を破りました。

 シンジャル山脈を包囲するイスラム国に対するクルド人の攻勢は、これまでで最大の米主導の集中的な空爆回数45回と共に、水曜日早くに始まりました。

 地上では、約8,000人のペシュ・メルガ(peshmerga)戦闘員は二手に分かれた攻撃を開始し、ヤジディ派とその他の者たちが逃げるための広い回廊を開くことに成功したと言います。

 クルド地域安全保障評議会の首相、マスルール・バルザーニ(Masrur Barzani)は、作戦は10月に奪還したザマル(Zumar・kmzファイルはこちら)からシンジャル山脈へ前進し、ヤジディ派を救出することだと言いました。「それは非常に大きな作戦で、ありがたいことに、非常にうまく行きました」。

BBCのジム・ミュアー記者の見解

クルド人の説明によると、これはイスラム国に対して行ったこれまでで最大の攻勢で、8,000人のペシュ・メルガ軍と米軍による前例のない空爆が関与しています。しかし、その目的は8月以来、イスラム国がシンジャル山脈に行った包囲を解くことに限定されます。それは2日間で達成されたとクルド人は言います。クルド軍司令部は、まだなすべきことの多くが残り、状況は厳しいことを知っています。山脈周辺の鉄の輪は突破したかも知れませんが、まだそこには多くがあります。さらに南にあるシンジャル町(kmzファイルはこちら)はシリア国境沿いの地形の脆弱な地域にあります。それは次の目標です。しかし、民兵は東のモスルとタル・アファル(Tal Afar・kmzファイルはこちら)、西のシリアで強固な守りを築いたままで、クルド人の側面を剥き出しにします。クルド人はクルディスタンの一部としてシンジャルを重視します。しかし、モスルとその他のアラブ人やスンニ派の地域はイラク人の問題で、クルド人が自身のこととして取り組もうとしません。

 ペシュ・メルガ指揮官は、金曜日に山脈の中に閉じ込められている人たちの救出を始められるだろうと言いました。クルド軍司令部の声明は、民兵多数がシリアへと西へ逃げるか、6月に占領したモスルに向けて東へ逃げました。8つの村を奪還し、攻勢で民兵約80人が殺されました。


 記事は一部を紹介しました。

 イスラム国が包囲したシンジャル山脈に対する米軍の対応は、これまで何度も紹介しました(記事はこちら )。

 作戦の詳細は分かりませんが、多分、シンジャル山脈の北側で包囲を突破したのだと思います。米軍との調整もできているようですし、作戦はこのままうまく進むと考えてよいでしょう。


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