クルド軍がシンジャル山脈で支配地機を拡大

2014.12.22


 military.comによれば、イラク系クルド人戦闘員とイスラム国の過激派の間の散発的な戦闘は、その他の補給上の問題と相まって、まだシンジャル山脈(Sinjar)に閉じ込められている最後のヤジディ派(Yazidis)の救助を遅らせていると、イラクの政治家が金曜日に言いました。

 戦闘はまだ山脈近くで継続中だと、ヤジディ派の政治家、マーマ・カリル(Mahma Khalil)はいいました。彼は遅れの他の理由として、補給と輸送の計画と準備が必要だともいいました。

 しかし、クルド人のペシュ・メルガ(peshmerga)戦闘員は山脈に閉じ込められているヤジディ派多数の窮地を緩和することはでき、相当な量の食糧と補給物資を送り届けました。配送はペシュ・メルガ戦闘員がこの夏にイスラム国に奪われたいくつかの場所を奪還し、山への回廊を開いて、彼らの戦場が木曜日に前進したあとで可能になりました。

 BBCによれば、クルド当局はペシュ・メルガがシンジャル町の大半をイスラム国から奪還したといいました。

 クルド人の指導者、マスード・バルザニ(Massoud Barzani)はシンジャル山脈の近くを訪問した間に、ペシュ・メルガが大きな前進をみたと主張しました。

 アメリカは土曜日にイラクで13回の空襲を行ったといいました。その内4回はシンジャルの近くでした。

 バルザニ氏は日曜日にシンジャル山脈を訪問した時、ペシュ・メルガがなした前進を称賛しました。「神のお陰で、我々はすべての道路を支配し、シンジャル山脈の包囲を突破しました」「シンジャル町中心部の開放は我々の計画の中にはありませんでしたが、我々は町の大半を支配しました」。

 補給品を積んだ車列は現在、山脈内の民間人に到達できます。

イルビル(Irbil)駐在BBCのジヤ・ゴル記者(Jiyar Gol)の見解

 バルザニ氏の旅は象徴的で、この地域が平定されたことを示します。難民キャンプにいる大勢のヤジディ派難民は新しく開放された村へ戻れる見通しに喜んでいますが、ペシュ・メルガ戦闘員はイスラム国が残した爆弾とブービートラップのためにまだ安全ではないといいます。戦場でペシュ・メルガは士気旺盛です。クルジスタン特殊部隊指揮官、アジズ・ワイジ将軍(Gen Aziz Waisi)は、民兵たちが逃走中だといいました。しかし、イスラム国民兵は抵抗し、シンジャル町周辺で反撃し、ペシュ・メルガに対して自動車を使った特攻を数多く行っています。現在、クルド軍はシンジャル町の中でイスラム国と戦っているというクルド人指揮官からは、すぐに地域全体を獲得するという話があります。

 クルド人がシンジャルを奪還するのに成功すれば、シリアのイスラム国領域とイラク二番目の都市モスル(Mosul)との間の重要なリンクを断ち切ります。


 記事は一部を紹介しました。

 まだ戦闘は続いていますが、結果は時間の問題です。クルド人が着実に支配地域を拡大し、シンジャル地域はクルド人が奪還します。

 BBCの記事に分かりやすい地図が載っていますので、ご覧下さい。

 シンジャル山脈の頂上付近に村があり、それらはいくつかの小道で平地とつながっています。イスラム国はこれらの道路を封鎖して、ヤジティ派を包囲の中に置いたのです。しばらくは持久できるものの、必要な物資を取り寄せることができないので、人道危機になり得るとして、夏に米軍がヘリコプターで出動したりしました(関連記事はこちら)。

 クルド軍はズマル(Zummar)とラビア(Rabiya)から出発し、周辺の村からイスラム国民ぺいを追い払い、シンジャル山脈の北側から頂上の村に到達する回廊を開いたのです。

 その後、恐らくは山脈を越えて南側へ降りる道路を下って山脈を横断、シンジャル町へ到達して、掃討作戦を行っているのだと考えられます。

 展開から得られる印象では、イスラム国はこの辺に十分な戦力を置いていなかったのでしょう。雑な戦略による勢力拡大の結果はこんなものです。

 シンジャル山脈南側にある幹線道路はモスルにつながっています。クルド人がここを奪還することで、モスルに対するイスラム国の影響は格段に落ちてしまいます。道路を奪還しようとしてモスルから兵を派遣すれば、クルド人はモスル奪還に乗り出すでしょう。これがシンジャル作戦の狙いでもあるのでしょう。

 


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