ISISが首都に通じる国境町を占領

2014.6.22


 alarabiya.netによれば、武装部族とISISがイラクのアンバル州(Anbar)で二つの街を占領しました。

  地元スンニ派の反政府派と組んだISISの民兵は、6月10日にモスル(Mosul)を占領して急襲を開始しました。アンバル州知事は武装部族は、アンバル州のラワ(Rawa)とアナ(Ana)を占領したと主張した者たちだと言いました。ラワ市長のフセイン・アリ・アル・オジェイル(Hussein AIi al-Aujail)は、スンニ派武装勢力は土曜日に街を占領したと言いました。地元の軍と警察は武装勢力が支配権を持つと撤退したと、オジェイル市長は言いました。彼は過激派たちは、首都バグダッドから北西275kmにあるユーフラテス川沿いにある町の政府事務所を荒らし回ったと言いました。

 このニュースはISISがmバグダッドから320kmにあるカイム(Qaim)とその国境を、金曜日に一日中続いた戦いで約30人のイラク兵を殺し、占領したあとで出ました。匿名の警察・軍当局者は、現在、人々は自由に越境していると言いました。

 イラク軍公報のカシム・アル・ムサウイ中将(Lt. Gen. Qassim al-Moussawi)はカイムの陥落を認め、地元部族に支援された兵士はテロリストの街を掃討しようとしていると言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 カイムはシリアからバグダッドに向かう幹線道路沿いにある、シリアとの国境町です。ここが陥落すると、シリアからバグダッドに宇買うルートが開けます。先日、モスルが陥落してもラビタ(Rabia)が陥落していないので、シリアからモルスへ直接行くことはできないと報じられました(過去の記事はこちら)。しかし、カイムが陥落すれば、首都への直行ルートが開けることになります。

 イラクにいるISISは数千人と言われますが、シリアにいる者たちと合わせると1万人といわれます。これらがすべてイラクに来ることはあり得ませんが、ISISがイラクがより重要と見て増援することもあり得ます。どれだけ増援できるかが問題となってきます。

 それでも、首都が陥落するようなことは起こらないでしょう。重火器の両が多い、イラク軍の方が優勢です。しかし、国の一部をISISに占領されたままでは、イラクが国として成り立ちません。かつて、考えられるイラクの将来として、シーア派、スンニ派、クルド人の3つの地域への分割がいわれたことがあります。それと似た状況になってきていて、関連する記事も出てきています(関連記事はこちら)。しかし、これは国が三分割されて、その後、安定するシナリオであり、ISISがより大きな対立を煽る現在の状況とは異なっています。

 米軍は特に危険な地域に行く兵士を除いて、イラクに派遣される兵士への危険手当を6月1日から停止しています。これはイラクへ派遣されるという特殊部隊についても適用されます(関連記事はこちら)。このことからも、米軍が現在の危機へ再投入される可能性は非常に低いといえます。アメリカとしては、イラク軍に期待し、公言できませんが、イランにも期待しているのだと思われます。

 


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