バウ・バグダール軍曹に脱走の疑い
military.comによれば、マーティン・デンプシー陸軍大将(Gen. Martin Dempsey)は、タリバンから解放されたバウ・バグダール軍曹(Sgt. Bowe Bergdahl)は、彼が陸軍がアフガニスタンの部隊から脱走していた場合、捜査と軍事裁判に直面すると言いました。
デンプシー大将はバグダール軍曹は有罪が証明されるまでは無罪と推定されると言いました。
デンプシー大将は「この特定の兵士の行為は敵の捕虜になった米兵を取り戻す我々の努力とは別です」と言いました。「これは彼を自由にすると最後で、最良の機会でした」「彼が捕まった環境については、彼が提供できる時に我々は事実を知るでしょう。他のアメリカ人すべてと同じくわ有罪が証明されるまで彼は無罪です」。
2009年6月30日、南東部のパクティカ州(Paktika)の前哨から歩き去った後、戦闘捜索任務で少なくともバグダール軍曹の部隊の6人の兵士が殺されたとされます。
この任務で死んだダーリン・アンドリュース少尉(2nd Lt. Darryn Andrews)の母親、サンドラ(Sondra)は、しばしばこう考えると言います。「この男(バグダール)は私の息子の命ほどの価値があるの?。私の息子は愛国者だった?。本当の兵士は誰?。この男にその価値があるの?。そうは思わない」。
バグダール軍曹は、SERE隊の(Survival Evasion Resistance and Escape サバイバルと捕虜になった場合の訓練をする部隊)の情報将校と心理学者の事情聴取を受けたドイツのラントシュトゥール医療センターで回復中でした。
ジョン・マクヒュー陸軍長官(Army Secretary John McHugh)は「我々の最優先課題はバグダール軍曹の健康を確保し、彼の復帰プロセスを開始することです」と述べました。「このための時間割はなく、彼の回復に医療的に必要なだけ時間をとります」。マクヒュー長官は、バグダール軍曹がタリバンに捕まった環境を説明したり、懲罰的措置の可能性に直面しなければならないことも明らかにしました。
記事は一部を紹介しました。
このサイトで過去に取り上げたことは、不思議とあとで大きな動きにつながる場合が多いのですが、先日紹介したバグダール軍曹についても、過去に何度も取り上げていました。(過去の記事はこちら 1・2・3・4)
この記事を見ると分かるのですが、バグダールは捕虜になった当時は上等兵でした。人事上のルールにより、捕虜になっている間に軍曹に昇格したようです。また、当時は脱走ではなく、行軍中に行方不明になったと報道されていました。
事実関係は分かりませんが、彼を捜索するために何人もが死んだのは確かです。そして、死者の母親が不平を言っていることも。
この事件で思い出すのは、2004年に日本人4人がイラクで武装勢力に捕まった時の日本人の感情的な反応です。その言い分は、この母親に似ていました。
死者が出たことは残念としても、バグダールが故意に部隊を離れたのかだけでなく、捜索活動が妥当だったかも問題にしなければなりません。指揮官が不適切に命令を出し、その結果死者が出たとすれば、それはバグダールの責任とは言い切れません。何事も判断をくだす前に、事実関係の慎重な分析が必要です。
さらに、日本人が学ぶべきなのは、脱走の疑いがある兵士でも、敵5人と引き替えるという、腰の据わった米政府の対応です。しかも、助けた上で、規律違反があれば裁判にかけると考えています。
それとこれとは問題が別だと割り切る考え方が日本にはありません。日本人が誘拐された時、当時の小泉首相は立場も忘れて被害者を非難し、テレビに出る政府系コメンテーターも同様の発言を繰り返しました。一般国民も政府の見解に同調しました。これが日本の限界です。
集団的自衛権が成立した後は、自衛官が海外で敵勢力に捕まる可能性も増えます。そういう場合の対処法は何も決まっていません。アメリカほどの行動がとれるとも思えませんし。それだけを考えても、現在の議論には疑問を呈せざるを得ません。
|