イスラエル地上軍がガザ地区へ侵攻

2014.7.19


 alarabiya.netによれば、イスラエル軍がガザ地区への侵攻を開始してから、パレスチナ人27人とイスラエル兵1人が死亡しました。

 少数のイスラエル軍戦車が国境を越えたと、ガザ地区の住民は言いました。ベンジャミン・ネタニヤフ首相(Prime Minister Benjamin Netanyahu)は金曜日、地上攻撃は空爆だけでは民兵のトンネルに十分に対処できないために必要だったと言いました。木曜日遅くに出されたネタニヤフ首相官房からの声明は、彼が民兵がイスラエルに侵入し,攻撃を行うトンネルを破壊する命令を与えたと言いました。

 イスラエル軍は金曜日に攻勢を開始してから、兵士1人が死亡し、2人が負傷したと発表しました。パレスチナの医療筋は少なくともパレスチナ人11人が死亡したと言いました。犠牲者が民間人かハマスの戦闘員かは不明のままです。

 イスラエルは攻勢がハマスを倒すことを狙っておらず、主要な標的はハマスが掘ったトンネルだと言いました。ハマスの公報、サミ・アブ・ズフリ(Sami Abu Zuhri)は、イスラエルの侵攻の発表に答え、「我々はこうした愚かな行為の結果はひどいものになるとネタニヤフに警告します」と言いました。

 ガザ地区の住民と医療関係者は南部の街、ラファ(Rafah)から地区の北部に向けて、東部国境沿いに激しい砲撃があったと報告しました。住民は激戦が、バイト・アヌーン(Beit Hanoun)とバイト・ラヒア(Beit Lahiya)を含む国境沿いにあったと言いました。

 地中海沖合のイスラエル戦闘艦が砲弾と曳光弾を撃つと、オレンジ色の閃光がガザ地区を照らしました。イスラエル軍の砲兵隊が地域を叩き、ヘリコプターは国境沿いを攻撃したと目撃者は言いました。ロケット砲がガザ地区からイスラエル南部のアシュドッド(Ashdod)とアシュケロン(Ashkelon)へ飛びました。生中継映像はアイアン・ドーム対ミサイルシステムが迎撃したことを示し、犠牲者は報告されていません。


 記事は一部を紹介しました。

 記事から、イスラエル軍が地中海側のガザ地区へ進行したことが分かります。記事に登場する地名はいずれも、ガザ地区北部とその北にあるイスラエル領域にあります。

 この辺りは、平地で田園地帯と住宅地帯が入り交じっています。Google Earthの衛星写真は2011年のもので、北部に大規模な住宅造成地らしい場所が未完成のままであることが分かります。wikimapia.orgの写真は2014年のものですが、大して変わっていません。地上軍は障害物が少ないことを利用して、すぐに侵入しただろうと思います。事前に調べておいたトンネルに爆薬を仕掛け、崩落させることで塞ぐ作業をするため、一定の範囲を勢力圏内におく作戦を展開中と想像します。これだけなら、さほど大きな戦闘にはならず、数日で終了します。

 しかし、すでにパレスチナ人27人が死亡しています。その内訳が分からないので、イスラエルの攻撃の正当性を判断することはできません。小規模な戦争でも、これくらいの犠牲は簡単に出るということを、集団的自衛権を認めた日本人は知る必要があります。この程度の犠牲は毎日のように、世界のどこかの戦場で起きています。

 先日予測したように、地上戦はないという予測は覆りましたが、イスラエルがかなり慎重なのは、2006年と違っているように見えます(関連記事はこちら)。あの時の教訓が効いているのは、間違いないと言えます。

 


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