ペトラエス元大将が機密漏洩で起訴の可能性
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、FBIと司法省の検察官は、CAI長官在任中に愛人に機密情報を与えたと主張し、デビッド・H・ペトラエウス(David H. Petraeus)を重罪で起訴するよう勧告し、エリック・H・ホールダー司法長官(Eric H. Holder Jr.)に、同世代の軍高官を刑務所に送りかねない起訴をするかを委ねました。
司法省の調査はペトラエス氏が、彼の伝記を書いていた陸軍予備役将校、パウラ・ブロードウェル(Paula Broadwell)と関係した事件から生じ、彼が彼女に彼のCIAのアカウントへのアクセスとその他の高度な機密情報を与えたかどうかに集中しました。
ペトラエスが2012年に事件が公になってCIAを辞職した後、FBI捜査官は彼女のコンピューターから機密書類を発見しました。
イラクとアフガニスタン両方で米軍指揮官を務めた退役大将のペトラエス氏は、ブロードウェルに機密情報を与えていないと言い、恥ずかしい裁判を避ける司法取引をする気がないことを示唆しました。彼の弁護士、ロバート・B・ベネット(Robert B. Barnett)は金曜日、コメントしませんでした。
起訴を勧告したと言った当局者は調査について概説しましたが、公言する権限がないため匿名を求めました。
ホールダー司法長官は昨年末までにペトラエス氏を起訴するかどうかを決めることになっていましたが、明らかにしていません。
この遅延は、ペトラエス氏が特別な扱いを受け、ホールダー長官が秘密をジャーナリストに知らせる政府当局者を弾圧するかを疑問視する一部の司法省とFBI当局者と調査官を苛立たせました。
ホールダー長官は調査について僅かしか公にしていません。ジェームズ・B・コミーFBI長官(James B. Comey)は12月に長引く理由を記者に質問され、「言えない。と言うか、言えるけど、言いたくないってところかな」と答えました。
司法省広報官は調査についてのコメントを辞退しました。
ペトラエス氏が辞職した直後の記者会見で、オバマ大統領はペトラエス氏が安全保障にネガティブな影響を与える機密情報を漏洩させた証拠はないと言いました。
しかし、調査官は国家安全保障を損なう情報開示であるかないかに関係なく、それは国家の最も信頼される情報組織の指導者のひとりのオフィスで重大な機密保護違反になると結論しました。彼らは地位が低い職員はずっと低いことで起訴されていると言い、ペトラエス氏を起訴するよう勧告しました。
連邦捜査官はペトラエス氏の友人ジル・ケリー(Jill Kelley)が、ペトラエス氏との関係について、匿名の脅迫メールを受け取っていると、FBIに訴えた後、偶然事件に気がつきました。
FBIはネット上のストーカー事件の捜査を始め、メッセージをブロードウェルまで追跡し、彼女の電子メールを捜索しました。この時、彼は彼女とペトラエスが浮気をしている証拠をつかみました。
ペトラエスはブロードウェルと2011年、CIAの仕事についてすぐ、彼女が著書「All In: The Education of General David Petraeus.」のためにインタビューをしていた間に浮気を始めたと言いました。
記事は一部を紹介しました。特に、共和党からの反応や、彼の経歴については省略しました。
この記事を読んで「まさか」と思いました。「まさか、あのペトラエスがそんなことをするなんて…」ではなく、「まさか…あいつがまたやったのか!」の方です。
ペトラエスがイラクとアフガンで指揮官を務めている間、私は何度、彼を批判したか知れません。2010年3月に、彼はアフガン戦略が成功しつつあると言いました。誰もが失敗だと認識していた時期にです。とにかく、言うことが凡庸で、普通の人の域を出ません。戦時において、指揮官が凡庸なのは犯罪的で、部下を大勢死傷させる原因となります。
彼は軍を退役した後、CIA長官に就任。しかし、今度は不倫が発覚して、長官を辞職することになりました。当然、私は彼の行為を激しく批判することになりました。米軍は不倫(米軍用語では「不適切な関係: improper relationship」)を軍規で禁止しているのです。退役後は軍人でないとはいえ、軍OBとして軍規を尊重するのは当然です。おまけに相手は現役軍将校ときています。夫と子供がいる彼女は浮気が発覚してから大佐への昇進が保留にされています。調査が済めば、軍事裁判となるでしょう。
それだけならまだしも、今度は愛人ブロードウェルに機密情報を漏洩していた疑惑が湧き起こったのです。端的に言って、私は彼に対して怒髪天を衝いています。使いたくない言葉だけど、アメリカにとって、ペトラエスは国賊です。
なお腹が立つのは、彼が大事にならないと信じ込んでいて、司法取引も拒否していることです。軍規上は将官も起訴できます。2012年に米陸軍第82空挺師団のジェフリー・シンクレア准将(Brigadier General Jeffrey Sinclair)は強姦等で起訴されました。しかし、ロイター通信によると、昨年3月、最高刑では18ヶ月間の禁固刑のところを2百万ドルの罰金で終わりました(関連記事はこちら 1・2・3・4)。
退役後の事件だから、ペトラエスはほっとしているかも知れません。現役の大将なら少将へ降格されています。米軍では大将と中将はそれに相応する立場にある限り、一時的に大将や中将でいられるのです。ペトラエスはどうせ刑務所には行かないで済むと考えているのでしょう。
軍高官への処罰は下位の軍人よりも甘い傾向があり、それは長らく問題視されてきました。だから、余計に腹が立ちます。
余談ながら、ブロードウェルの著作は評価が低いようです。知っていることばかりだとか、ニュース雑誌みたいといった批判がみられます。
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