イスラム国がラマディ最後の橋を爆破

2015.12.11


 military.comによれば、イラクのラマディ(Ramadi・kmzファイルはこちら)で包囲されたイスラム国民兵は、イラク軍がユーフラテス川にかかる橋を兼ねる水門(kmzファイルはこちら)を破壊しました。

 今月初旬からイラク軍がラマディで前進を開始してから、民兵はユーフラテス川とその支流のワーラー川(Warar)両方から街へつながる橋すべてを破壊していました。アンバル州(Anbar)の作戦指揮官、イスマイル・アル・マラウィ少将(Maj Gen. Ismail al-Mahlawi)は、木曜日に破壊された水門は市の中心部から北西へ向かう最後の橋だったと言いました。「我々の前進を止めようとするダーイシュの軍隊は市中心部をつなぐ最後の橋を破壊しました」。水門の破壊は約300人のイスラム国を街中心部に閉じ込めたままにすると彼は付け加えました。

 米主導同盟国の報道官、スティーブン・ウォーレン大佐(Col. Steven Warren)は、橋の破壊はイスラムこの区の戦術ミスを証明するかもしれないと言いました。「彼らがいまやったことは、彼らが本当に自分を孤立させたかもしれないということです」「従って、川の北側に取り残された戦闘員たちは撤退ができず、川の南側の戦闘員たちは増援を送れません」。

 アンバル州知事の広報官、ムハナード・ハミオア(Muhannad Haimour)は、まだラマディ市内にいる住民から、イスラム国は橋とラジオ塔も破壊したとの報告を受けたと言いました。「我々は以前にもこれを見ました。彼らは橋だけでなく、市内にある多くのインフラを破壊する傾向があります」。ハミオアは受け取った報告によると、2ヵ月前、イスラム国戦闘員は彼らの家族をラマディの市の外へ、その北西にあるヒート(Hit)へ向けて移動させ始めました。彼はそれがアンバル州の州都で流れがイスラム国に背を向け始めたと考えた時だったと言いました。ラマディ戦の鈍いペースを変えた主要因は、バグダッドの中央政府がイスラム国と戦うためにラマディ地区のスンニ派部族戦闘員を武装すると決断したことだったと、ハミオアは言いました。「彼らは同盟国と中央政府から十分な支援を受けたと感じませんでしたが、そのすべては数ヶ月で変化しました。いまや動員され、訓練され、武装され、給料を受け取ったアンバル州の8,500人のメンバーがいます。

 ウォーレン大佐は、イラク軍が獲得したものを堅固にする一方で、木曜日、彼らは重要な同盟国の航空支援と共にイスラム国のいくつかの反撃を撃退したといいました。声明で米主導の同盟国は、水曜日に6回の空爆がイスラム国の部隊と陣地を狙ったと言いました。先週、同盟国の航空機はラマディ付近で36回の空爆を行いました。

 しかし、ラマディを奪還する作戦が進行すると、ラマディに閉じ込められた4,000〜10,000人と見積もられるかなりの住民は大半が市内部で閉じ込められたままです。イラク当局者は民間人は街を逃れられると考えると言いますが、同盟国当局者は目下のところ、小さなグループがそうしたのを見るだけだったと報告します。


 記事は一部を紹介しました。

 地図や衛星写真を見れば、ラマディがユーフラテス川の両岸に発達した街だと分かります。南岸はイラク軍が占領し、北岸はイスラム国が占領しますが、周辺はイラク軍が包囲しているようです。橋を爆破したことで、イスラム国には逃げ道がなくなったということです。

 6月にイスラム国はこの水門を閉鎖して、溜めた水でイラク軍を攻撃しようとしました(過去の記事はこちら)。

 しかし、イスラム国の民兵が300人程度とは驚きです。もっといると思っていました。街北部の広さからすると、300人で守り切るのは大変そうです。

 イラク軍は全戦線で攻勢を強め、支流も渡って市内へ進撃するかもしれません。民間人の犠牲が心配ですが、奪還しないことには進展はありません。情報が少なくて、作戦がどのように進展しているかは不明ですが、今後もこの作戦を注視していきます。

 


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