イスラム国がカサスバ中尉殺害映像を公開
alarabiya.netによれば、火曜日、イスラム国はヨルダン人パイロット、モアズ・アル・カサスバ中尉(Moaz al-Kasasbeh)を生きたまま焼くのを示すビデオを公開しました。
22分間のビデオはヨルダンが空爆に参加していることに対する告発で始まり、パイロットに起きたことでヨルダン政府を非難しました。
それから、震え、顔に痣があるカサスバ中尉が現れ、F-16がラッカ(Raqaa)近くに墜落した最後の攻撃任務について話しました。ビデオはヨルダン人パイロットを檻へ案内するのを示します。Al Arabiyaは、その信憑性を確認できません。それから、男性が檻の中に閉じ込められているように見え、たいまつを持ったイスラム国民兵が檻に届く長いヒューズに点火しました。続く場面は、男性が崩れ落ちる前に檻の中で火に巻き込まれまれるのを示しました。ブルドーザーが彼に近づいて、彼を埋めました。
ヨルダン政府はイスラム国が拘束されたパイロットを殺し、それが1月3日に起きたことを確認したと、国営テレビは報じました。テレビで放送された声明で、ヨルダン軍はパイロットの殺害に報復すると誓いました。「殉教者の血を無駄にしません。復讐はすべてのヨルダン人を襲った大事件に応じたものとなるでしょう」と軍広報官、マムドラ・アル・アミリ大将(General Mamduh al-Amiri)は言いました。
記事は一部を紹介しました。
1月1日に紹介したように、イスラム国がカサスバ中尉の殺し方をツィッターで募集し、多数の応募がありました(関連記事はこちら)。その中に、生きたまま焼くという案があり、イスラム国はこれを採用したようです。それは単に、映像を公開すれば世界中に衝撃を与えると考えられたからでしょう。
折角撮影した映像を、彼らはこれまで公表せず、死亡の事実も伏せていました。その理由がよく分かりません。
当初、イスラム国は中尉と死刑囚数人との交換を提案していたとされます。その最中に殺し方を募集し、処刑を実行していたのです。
私はカサスバ中尉の処刑映像が公表されないことを疑問に感じていたものの、殺し方を応募した以上、殺したら映像を公表し、支持者に感銘を、その他の人たちには衝撃を与えようとするはずだと考えていました。映像が出ないのは、理由は分からないものの、中尉がまだ生きている証拠だと考えていました。
イスラム国は最初から、中尉は処刑し、すでに拘束していた日本人を死刑囚交換のカードに使おうと考えたのかも知れません。ラッカはイスラム国の拠点です。彼らがカリフを宣言した土地に爆弾を落とす者は、処刑しなければ気が済まないでしょう。中尉は処刑し、死亡の事実は伏せた。それから、何か脅迫の材料が生じるタイミングを待ったのかも知れません。
そこへ、安倍総理が中東を訪問し、総額25億ドルの支援を約束した。手元には日本人2人がありました。格好のタイミングが訪れたことになります。彼らの思惑通り、日本政府はヨルダンに拠点を置きました。彼らにとっては願ったり叶ったりだったことでしょう。彼らはカードを切ったのです。
しかし、ヨルダン政府は中尉がすでに処刑されたとの非公式な情報を得ていたと想像されます。処刑映像が公開された直後に、ヨルダン軍が死亡を確認したと発表したのは、何らかのルートで処刑がヨルダンに伝えられていたことを推測させます。そのため、ヨルダン政府はしつこく中尉の生存証明をイスラム国に求めたのです。
イスラム国が事件を起こした動機は様々に言われています。単に世界に恐怖を与えたいだけとか、日本とヨルダンの関係にくさびを打ち込むためといった説があります。しかし今、私は死刑囚の釈放が目的だったと考えています。殺害方法を募集したのに、中尉を釈放すれば、支持者の間に失望しか生まれません。中尉を殺して、日本人を使って死刑囚を釈放させる。失敗しても、どうせダメで元々の話です。うまく行けば、最近劣勢のイスラム国が大きな勝利を得たと宣伝できます。
ヨルダン政府は中尉の帰還を望む世論に押され、中尉の生存確認を優先しました。犯人が定めた刻限を過ぎても、回答を待ち続けたのです。これは私には理解できない感覚です。中尉が死亡した可能性が高いのなら、生きている人質だけでも救い出し、それを国の誇りとするという考え方はなかったのかと思うのです。何もかも求めようとして、すべてを失うやり方です。
サジダ・リシャウィ死刑囚を含めて、考える限り最も多くの人が死ぬという結末で、それを選んだのはヨルダン政府であり、きっかけを作ったのは安倍総理です。お人好したちがずるがしこい連中に手もなくやられたという結果です。
つい、先代のフセイン国王だったらどうしただろうかと考えてしまいます。穏健さと威厳を兼ね備えたフセイン国王なら、別の選択があったのではないかと。意味のない想像かも知れませんが。
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