イスラム国離反者をプロパガンダ戦争に使え

2015.9.24


 BBCによれば、増加するイスラム国からの離反者たちが離反した理由について公言しています。

 離反者は民兵グループのメンバーによる報復を受け、国から投獄される恐れがあり、多くは姿を隠します。しかし、キングズ・カレッジの研究者はその3分の2が今年離反した離反者58人が語ったことを見出しました。報告書は彼らの証言が新しいメンバーを落胆させるのを助けることを示唆します。

 報告書を発表したキングズ・カレッジの過激派研究国際センター(ICSR)は元民兵数百人が現在、離反したか、そうしようとしていると見積もります。多くはトルコ経由で離反したか、その他の者たちは捕らえられて、処刑されたと考えられます。

 ICSRは彼らが研究した58件は幻滅した者たちとみられ、離反する準備ができていて、公表する準備ができている者たち、あるいはそれらのどちらかだと主張します。(具体的な証言レポートはこちら

 研究者はイスラム国を去る理由の中にいくつかの重要な物語を見出します。

 大半の離反者は仲間のイスラム教徒忍耐する残忍性を懸念し、腐敗を含んだメンバーの間の非イスラム的行為を認めました。一部は彼らがイスラム国での生活の質に失望したと認めました。「彼らは典型的に物的で利己的な理由のためにグループに参加した者たちの一人で、彼らが約束された贅沢品と車が手に入らないとすぐに理解しました」と報告書は書きました。戦闘員2人は自爆テロ犯になることを知った後で離反したといいました。

 昨年、BBCに話した、匿名を希望するある離反者は「イスラム国の残忍性は誰でも怖がらせます」といいました。「彼らの信条を否定するものは何でも禁じられています。彼らが否定するものを理解する者は背教者であり、死ななければなりません」。

 報告書は幻滅した話は新しい新兵を落胆させるのを助けると示唆します。「離反者はイスラム国での生活について独特の洞察を提供します」「しかし、彼らの話はそれと戦う中で強力なツールとして使われることもできます。離反者の存在はイスラム国が伝えようとする統一と決意のイメージを粉砕します」。

 アメリカはすでにこのグループに対してプロパガンダ戦争を行っています。そのツールの中に、国務省が運営する「Think Again Turn Away」という名称のツィッター・アカウントがあります。

 しかし、ICSRはテロ容疑での起訴のような法的な障害を取り除くことを含めて、政府に元イスラム国民兵にもっと話をさせるよう主張します。報告書は多くの離反者は犯罪に関与したかも知れず、起訴やもっと悪いことから彼らを救うことを言いたい動機を持っていると認めます。

 報告書に編纂された初期の事例は2014年1月で、大半は今年8月からのものです。全体的に事例の3分の2は2014年の最初の8ヵ月と3分の1は夏季だけに起こりました。


 記事は一部を紹介しました。

 以前にもイスラム国を離反した者たちの記事を紹介しました。(過去の記事はこちら

 今回の記事も、それに似ています。想像していたことと違っていたのがイスラム国に幻滅する一つの理由です。

 実はこのことは、同時多発テロが起きた直後に、私が考えた戦略の一つでもあります。

 当時、アメリカなど西欧諸国は「特殊作戦による幹部の暗殺・誘拐」「プロパガンダ戦」を行うべきだと、私は考えました。ところが、ブッシュ政権は大規模な部隊による侵攻作戦という的はずれな戦略を採用し、それはさらにイスラム教徒の西欧諸国への反発を生み、アルカイダへ新兵を招き入れる原因となりました。大金を投じて、わざわざ逆効果を生んだという愚かさです。

 ついでに言うと、日本は集団的自衛権を行使して、この戦い方に遅ればせながら参加しようとしています。これは植民地政策に遅れながら参加し、失敗して、太平洋戦争を招いたのに似ています。世界が選んだまずい選択肢に後から参加するのは日本の伝統かも知れません。

 報告書はプロパガンダ戦争をさらに行うべきだと言っています。未だにこの分野への対応が不十分なのは驚きです。米軍は大勢の兵士を犠牲にしているのに、未だに手をつけていないとは。イスラム国のプロパガンダの方が余計に進んでいます。

 西欧諸国はイスラム教徒をキリスト教徒に改宗させようとしていないし、両者は共存できるというメッセージを発信するだけで、戦死する兵士の数は減らせます。それがなぜ難しいのかが理解できません。それを提言できない日本政府も疑問ですが、その能力や資質を見れば不思議ではないのかも知れません。

 


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