シャイラト空軍基地攻撃の詳細
military.comによれば、金曜日、巡航ミサイルが海軍駆逐艦によりシリア空軍基地へ発射されたあと、ロシアはシリアでの航空作戦の対立を回避する合意を破棄して、アメリカ人パイロットのリスクを増やしました。
ウラジーミル・プーチン大統領(President Vladimir Putin)の報道官は、ダマスカスの北にあるシャイラト空軍基地(Sharyat)へのアメリカの攻撃への対応で、2015年の対立回避合意を破棄するモスクワの決定の結果として、米露航空機間の対立の可能性が、非常に高まったといいました。
クレムリンの報道官、ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)は、プーチン大統領はアメリカの攻撃を国際法の基準に反する主権国家への攻撃とみるといいました。
米当局者は、初期の損害評価が、駆逐艦ロス(Ross)とポーター(Porter)から発射された巡航ミサイル59基が基地に重大な損害を被らせ、シリア軍機約20機を破壊したことを示すといいました。
ロシアのニュース「RT」によれば、ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ少将(Maj. Gen. Igor Konashenkov)はアメリカの主張に反し、ミサイル攻撃の全般的な結果は「まったく貧弱」だったといいました。
シリアの公式メディアによれば、ホムス州(Homs)のタラル・アル・バルザニ知事(Talal al-Barazi)は、基地の兵士5人と施設周辺地域の民間人8人を含む、少なくとも13人がミサイル攻撃で殺されました。彼の主張は独自に確認されませんでした。
コナシェンコフ少将は、旧式のミグ23「フロッガー」6機が破壊されたと言ったものの、それらがシリアやロシアのジェット機かは特定しませんでした。
彼はトマホーク地上攻撃ミサイル(TLAM)59基は23基しかシリア空軍基地へ達しなかったともいいました。
コナシェンコフ少将とシリアのバシャル・アル・アサド大統領(President Bashar al-Assad)は繰り返し、火曜日にシリア軍機が70人以上を殺し、数百人を負傷させた北西部のハーン・シャイフン(Khan Sheikhoun)に対する化学兵器攻撃を行ったことを否定しました。
ロシアはアメリカの行動を非難するために国連安保理の緊急会合も要請しました。
alarabiya.netによれば、航空機9機、弾薬庫と燃料庫が金曜日早朝のシャイラト空軍基地へのアメリカの攻撃で破壊されたものの、滑走路は無傷だったと、ロシア国営テレビ「Rossiya24」は現場から報じました。
「初期情報に合致し、シリア軍機9機が破壊されました」と、基地から、金曜日午前0時40分(GMT)の攻撃後、数時間後の放送で記者は報告しました。
弾薬庫、燃料庫も狙われましたと彼は言い、火災と若干の爆発が進行中だと付け加えました。
「しかし、装備品すべてが破壊されたのではなく、攻撃の影響を受けなかったものが少しあります」と記者はいいました。
「滑走路はほとんど影響を受けませんでした」と彼は付け加えました。
最初の記事は前半を紹介しました。後半は既知の事実や政治上のコメントが中心です。
米露で被害判定がかなり違います。 しかし、シリアとロシアの主張は信頼しなくてよさそうです。
トマホークミサイルが38.9%しか目標に到達しなかったとのコメントは過去の同種の戦果に較べて低すぎます。トマホークはGPS誘導で、カメラで捉えた攻撃目標を事前に登録した画像データと照合して確認してから目標に突っ込みます。過去の事例からしても、そう簡単には失敗しないのです。
時事通信は、米当局者の話として、60基のミサイルを発射して1基が失敗し、59基が命中となったとしています。この数字の方がよほど信頼できます。
2015年10月にロシアがシリア国内に巡航ミサイルを発射した時、米軍から4発がイラン山中に墜落したと発表されて、ロシア政府が否定したことがありました。この時に使われた巡航ミサイルは24発との報道もあり、単純計算では15%も墜落したことになります(過去の記事はこちら)。ロシアがトマホークの到達率を低くいうのは、この時にアメリカが欠陥を露呈させたためかもしれません。
453.5kgの爆弾を59発落としたら、一つの空軍基地は壊滅的打撃を受けます。衛星写真を見ても、59発あれば、シャイラト空軍基地のほとんどの施設に一発ずつ撃ち込めます。
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記事を書いた後で、さらに新しい記事が掲載されたのを見つけました。defensetech.orgによれば、滑走路は短期間で修理できるので、最初から狙っていないとのことです。
また、alarabiya.netによれば、攻撃から24時間以内に、この基地からジェット機が離陸したことを監視団体が確認したとのことです。
シリアに化学兵器を造らせないことは重要です。しかし、今回の攻撃はタイミングが早すぎたといえます。まだ、現地の支援グループなどからの情報しかない段階で、攻撃を行うべきかは疑問です。より慎重な政権なら現地からサンプルを信頼できる方法で回収し、毒物を検出してから攻撃に移ったでしょう。
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