退役軍人の多くに肥満が蔓延

2018.12.13


 military.comによれば、負傷戦士プロジェクト(the Wounded Warrior Project)による新しい研究はより多い9/11以降の退役軍人は復員軍人援護法(the GI Bill)を使い、障害給付金を受け取り、自宅を所有し、仕事を得ていることを見出しました。しかし、いくつかの世論調査は退役軍人の全体的な未来の健康に影響するかもしれないもう一つの増大する傾向、半数以上が肥満と評価されることを指摘しました。

 「戦士たちは私たちが望むほど健康ではありません」と負傷戦士プロジェクト(WWP)の計測担当のメラニー・ムソー医師(Dr. Melanie Mousseau)は、体格指数(BMI)によると 、51.7%の調査の回答者が肥満で、その全体の6.2%が病的に肥満との調査結果を言いました。

 かつてWWPの調査は2017年に50.9%が、2016年に48.6%が肥満と評価されたことを示しました。

 2018年の調査は男性の53.2%に比べて、女性退役軍人の43.8%が肥満の範囲のBMIであることを示しました。

 さらに調査によると、2018年の回答者のたった12.8%だけが健康的な体重か下回る重さの範囲でした。

 「不幸にも体重の問題は戦士にとって主要な課題であり続け、傾向は改善していません」と調査は指摘しました。

 WWPに登録された33,000人以上の退役軍人の調査は、「我々が金を投じる場所について国内的決定で組織を導くのを助けます」と、WWPの理事、にマイケル・リニングトン退役陸軍中将(Army Lt. Gen. Michael Linnington)は言いました。

 調査は兵士とその家族に、彼らが帰国したときに我々が提供する支援を向上する一方で、将来の紛争を告知して、準備させることも意図しました。

 調査をつうじて、また参加した退役軍人のコメントの中に、軍隊から民間の生活への移行への集中の重要性がリハビリの主要な要素として強調されました。

 しかし、際だった統計は体重に関するものでした。

 疾病管理・予防センターの国立保健統計センターによれば、アメリカの成人の中の肥満の蔓延は2015年から2016年においては39.8%でした。40歳から59歳までの成人の中の蔓延は42.8%で、29歳から39歳までの35.7%より上でした。

 マサチューセッツ州の(the Brookings Institution)などが後援した火曜日のパネルディスカッションでムソーらは、調査の回答者は戦傷したり負傷した退役軍人を含み、これらの苦痛は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と睡眠障害から来ていて、それは運動したり健康的な食習慣を採用する彼らの能力を制限しかねないと指摘しました。

 回答者の約3分の2は彼らがテーブルを動かすとか、電気掃除機を押したり、ボーリングに行くような中程度の活動すら制限されると報告したと、調査は言いました。

 10人中7人以上が苦痛が家の内外で彼らの仕事をいくぶん制限したと報告しました。

 ムソーは戦闘体験と民間生活への移行からのストレスの長引く影響は退役軍人の肉体的活動を行う能力と意志に影響しかねないととつけ加えました。

 「私はどんなタイプの不確実や変化も、ストレスの増大した感覚があると思います」とムソーは言いました。

 「ストレスで無数の他の課題が来ます」。

なかなか直らない傷

 調査の主要な発見の一つは、長期間の心理的な影響、身体的な傷として能力を失わせ得る、いわゆる戦争の「見えない傷」にありました。

 調査によれば、「戦士の3分の2から4分の3は、この一ヶ月間に彼らが記憶やその影響から逃れられなかった、ゾッとするような、恐ろしい、あるいは動揺するような軍隊経験を持ちます」。

 参加者の77%以上は絶えず警戒したり、油断しない必要を感じ、彼らは容易に驚かされたと報告しました。約75%は、彼らが感覚がないとか、他人、活動や環境から離れていると感じたと言ったと、研究は述べました。約66%は彼らの体験に関する悪夢を報告しました。

 退役軍人が調査の回答につけたコメントは、彼らの内的な闘いを反映しました。「私は本当にこれ以上私に関して何も誰もが理解しないように感じる。私は関わってもらうのを望むけども、人々が私を恐れているように感じる」とある回答者は言いました。

 「順応する方法を学ぶことは最大の課題です。社会的である方法。何かがおかしいという結論へ友人と家族が飛びつかないこと。侵入するものの機会がないほどあなたの心を忙しく保つ方法を学ぶこと。この課題を軽減することはできません」と著者は書きました。

 コメントは「汚点」も反映しました。現実であれ想像上であれ、多くの退役軍人が感じるのは、退役軍人の間であっても軍隊関連の精神衛生状態に付着しているということです。

 「人々はPTSDになることは人々を傷つけようとするサイコパスにすると想定するようです。実際は、私は単にほっておいて欲しいのです」とある退役軍人は言いました。

 もう一人は彼の経験が実際の戦闘と関係がなかった場合に、戦闘経験者のグループにいることの不快さを言いました。

 「経験が戦闘関連でないながらも、頭部を切断された子供、舟遊びの事故の死者、同僚の自殺と何年もの過剰労働のストレスのような出来事に関連していると、沿岸警備隊のメンバーと戦闘経験者のPTSDのグループと同席するのは困難です」と退役軍人は言いました。「大半があなたがどこにいたのかを理解できないのです」。

 調査は精神健康の治療を受けるのがむずかしい、そうした治療を受けることから遠ざけられているとか、彼らが必要とする治療を受けられていないと言った回答者のパーセンテージで僅かな減少を示しました。(2014年の35%に比べて2018年は33%)

 2014年の25%に比べて約19%は、意気地がないと思われるので治療を求めませんでした。さらに2014年の23%に比べて18%は、彼らが精神健康の治療を求めることで同輩や家族から非難されると感じた、と調査は言いました。

 WWPの2014年の調査の75%に比べて、回答者の約78%は、彼らが軍隊にいる間にPTSDを体験し、未だにどの影響に対処させられていると言いました。

9年間の調査が巨大データベースを提供

 WWPは2010年に調査をはじめました。そして従業員所有企業の調査会社「Westat」と合同の2018年版は、「9/11以降に軍務についた戦傷・負傷・傷病の退役軍人の国内最大で最も包括的な調査」を提供したと、ムソーは言いました。

 人口統計は回答者の83.5%が平均年齢約40歳の男性だったことを示しました。約3分の2は既婚(66.5%)で、半数以上が南部出身(53.1%)でした。

 圧倒的多数が志願者(91.7%)で、半数近く(45.3%)が軍務の間に3回以上派遣されました。ほぼすべて(93.4%)は少なくとも戦闘地域に1回は派遣されました。

 回答者が報告した最も一般的な負傷や健康問題はPTSD(78.2%)、睡眠障害(75.4%)、背中・首・肩の障害(73.7%)、鬱病(70.3%)でした。

 連邦労働統計局によれば、連邦労働統計局が「第二次湾岸戦争の退役軍人」と分類した9/11後の退役軍人の10月の失業率は9月の3.9%に比べて3.1%でした。しかしWWPの調査は、回答者の11%の失業率は、2014年の調査で割り出された14%よりも低いものの、未だに連邦統計よりも高いことを示しました。

 調査は回答者の自宅所有率は上昇したことを示しました。調査は2016年の52.9%、2017年の56.4%に比べて、2018年に回答者の59.6%が自宅を持っていることを示しました。

 回答者から得られた労働力にならない主な理由は精神健康問題(37.4%)、身体の怪我(24.3%)、引退(15.6%)と学校や訓練プログラムへの登録(13.8%)でした。

 調査はより多くの退役軍人は復員軍人援護局を第一に、そして精神健康治療で利用し、より多くが教育を受けるために復員軍人援護法の恩典を受けていることも示しました。

 2014年の25%に比べて、約36%が学士かそれ以上を達成したことを調査は示しました。

 調査は2014年の59%に比べて、2018年にWWの退役軍人の約75%が復員軍人援護局の健康保険を持っていたことも示しました。さらに多くが精神健康の懸念のために2014年の63%に比べて、2018年に71%が復員軍人援護局を活用していました。

 2014年の72%に比べて、回答者の約90%が2018年に復員軍人援護局の障害給付金を受け取っていて、62%は障害の程度が80%がそれ以上でした。

 復員軍人援護局を第一の健康治療提供者として使わないことの主要な理由は、アクセスが困難(45.2%)、官僚主義の問題(43.0%)、過去の悪い体験(44.5%)でした。

 調査は過去3年間に行った調査における相違よりも類似性があったと結論しましたが、すべては高齢層の退役軍人における「継続する身体と精神の健康問題」と「そこそこの経済的な向上」を反映しました。

 「民間生活への移行は多くにとって困難なままであり続けます」と調査は言いました。そして、これらの課題は「彼らの家族とそのほかの世話役へ拡大します」。


 この調査からは復員軍人援護局の対応が多少改善されていて、部分的に成果を出しているものの、問題は未だに多いということを感じさせられます。オバマ政権中にエリック・シンセキ元陸軍大将が援護局長官となり、かなりの改善をした結果かもしれません。

 現役兵士の肥満もしばしば問題になりますが、この調査が示す肥満率は高すぎるように思います。2009年の記事では、米軍の肥満率は4.4%で、これが以前よりも高い数値だと問題視されたのです(関連記事はこちら)。

 それだけではなく、この記事は精神健康の問題も取り上げていて、そちらはかなり根深そうだと感じます。この記事の数字はじっくりと眺めて、過去の記事などとも読み合わせてみる必要がありそうです。

 


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