4人死亡の待ち伏せは司令部のミスか?
military.comによれば、ジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)は土曜日、米兵4人が殺されたニジェールの待ち伏せの国防総省の調査は完了間近だと言いましたが、それはニューヨークタイムズ紙が詳細を発表し、部分的に銃撃戦のビデオ映像に基づいた報告を批判した前でした。
ヨーロッパへの1週間の旅のあと、アメリカへ戻る機上で、マティス長官は同行する記者たちに、米軍アフリカ司令部指揮官のトーマス・ワルドハウザー海兵大将(Marine Gen. Thomas Waldhauser)は第15条6項の事実調査の草案の評価を完了するために特定されていないスケジュールを持っていると言いました。
しかし、ワルドハウザー大将のスケジュールが日曜日のタイムズ紙の報道に影響を受けるかは不明です。報道は以前の国防総省とアフリカ司令部の、ニジェール北西部、トンゴトンゴ村(Tongo Tongo)の外での待ち伏せとなった10月4日のニジェール兵との合同パトロールの説明と矛盾します。
タイムズ紙の報道は、アフリカ司令部は合同パトロールをよく計画せず、その後、任務を進行中に3回変更し、アメリカ人4人とニジェール兵4人、通訳1人の死を導いたと言いました。
リスクの小さな定期的な活動だったものが民兵指揮官を捕獲するためのテロリスト基地への襲撃へ変わり、航空・地上の支援がないまま、任務のために準備されておらず、装備が不十分な者たちによって実行されたと、タイムズ紙は言いました。
第15条6項の調査に加えて、FBIはフロリダ州マイアミ・ガーデンズ(Miami Gardens)出身の25歳、ラ・デビッド・ジョンソン3等軍曹(Sgt. La David Johnson)、ワシントン州のピュアラップ(Puyallup)出身の35歳、ブライアン・C・ブラック2等軍曹(Staff Sgt. Bryan C. Black)、オハイオ州のスプリングボロ(Springboro)出身の39歳、ジェレミア・W・ジョンソン2等軍曹(Staff Sgt. Jeremiah W. Johnson)、ジョージア州のライアンズ(Lyons)出身の29歳、ダスティン・M・ライト2等軍曹(Staff Sgt. Dustin M. Wright)を殺した待ち伏せの国家安全保障への影響についての評価を行いました。
全員は陸軍の第3特殊部隊群に配属されました。ラ・デビッド・ジョンソン3等軍曹の死体は銃撃戦の2日後まで回収されませんでした。
タイムズ紙の報道はパトロール隊を攻撃した民兵に包囲されたようにみえるジェレミア・ジョンソン2等軍曹のヘルメットのカメラから得た恐ろしい詳細を含みました。ビデオ映像は後にモーリタニアの通信社「Agence Nouakchott d'Information: ANI」が入手しました。
価格は明らかにしませんが、タイムズ紙はビデオをANIから買い、それを法医学分析に出したと言いました。アメリカ兵の死を示し、イスラム国のプロパガンダを含むこともあり、ビデオ映像は公表を控えているとタイムズ紙は言いました。
ビデオ映像は、ブラック、ジェレミア、ジョンソン、ライトがパトロール隊の残りから切り離され、砂漠で孤立したため、劣勢で打ち負かされたことを示します。
ブラックは最初に攻撃され、倒れ、重傷でした。ライトはスポーツ用ユーティリティ車から出てきた、ブラックを車輪の背後に引っ張り、車のボンネット越しに撃ち返し続けたと、タイムズ紙は言いました。
ライトとジェレミア・ジョンソンはそれから、攻撃からさらに身を隠すために走りました。ジェレミアは倒れ、ライトは振り向いて前進する敵に向かって発砲しました。民兵は地面に横たわるジェレミア・ジョンソンを何度か撃ち、それからライトを殺すために振り向いたと、タイムズ紙は言いました。
先月、国防総省とアフリカ司令部は、ブラック、ジェレミア・ジョンソンとライトの死を示すとする写真とビデオ映像がソーシャルメディアに投稿されていることを承知していると言いました。
国防総省のブリーフィングで、主席報道官ダナ・ホワイト(Dana White)は写真とビデオ映像に関する「私は報道を承知していますが、我々は投稿の信憑性を確認していません」と言いました。
ヨーロッパ訪問の間にワルドハウザー大将と会ったマティス長官は、アフリカ司令部指揮官はワルドハウザーの参謀長、ロジャー・クルーチェ少将(Maj. Gen. Roger Cloutier)が率いる第15条6項の調査の草案にまだ署名していないと言いました。マティス長官は以前、草案は数千ページだと言いました。
土曜日、マティス長官はワルドハウザー大将が「彼がそれを終えられると予測するスケジュールといつ彼が私に送り届けると予測する時をくれたが、1月と予測されていた報告を出す期日はくれなかった」と言いました。
マティス長官は、彼は彼自身の承認を出す前に報告を評価だろうが、「私は(ワルドハウザー)のそれに対する承認を見るのを期待します。私は彼がどの立場なのかを見たい。私はそれを読みたい。これは非常に広範囲で、まさに広範囲な調査です」と言いました。
マティス長官は報告報告書の公表の方法は、待ち伏せの直後に合同参謀本部議長のジョセフ・ダンフォード大将(Gen. Joseph Dunford)が述べたとおりだと言いました。
報告書は最初に戦死者の家族に公表され、概説されます。機密版が議会へ送られ、それから、機密扱いでない版が大衆へ公表されます。
長文のタイムズ紙の報道は、何が起きたかについてのこれまでの不完全なアメリカの説明に小さなディテールから全般的な範囲とアフリカにおけるアメリカの対テロ任務の目的まで疑問を投げかけるために、パトロール隊の生存者、地元の村民、戦死者の家族、記名および無記名のアメリカとニジェールの当局者、そして公式書類を引用します。
国防総省は米兵12人が合同パトロールにいたと言いました。タイムズ紙は11人で、彼らは当初、ニジェール兵30人を訓練、顧問、支援する任務のために配属されたと言いました。
国防総省はニジェールの米兵は合同パトロールで攻撃的な活動からは除外されていたと言いました。タイムズ紙は合同パトロールは民兵指揮官ドウンドウン・チェファ(Doundoun Cheffou)を逮捕するための任務へと逸れたと言いました。彼はイスラム国に忠誠を誓ったと考えられていました。
チェファの逮捕は別の米特殊部隊チームに割り当てられましたが、彼らの任務は破棄されたと、タイムズ紙は報じました。特殊軍を支援する任務を持つ隣国マリのフランス軍の航空支援は警備態勢を解くよう言われました。
タイムズ紙は誰かを特定しませんが、司令部の誰かが、すでに進行中だった合同パトロールに、チェファがいると疑われるマリ国境近くの基地を襲撃するよう言いました。司令部の誰かはフランス軍の新しい任務については言いませんでした。
「我々はこのテロリスト(チェファ)の存在を確認する情報がありました」とニジェールのいカラ・モータリ国防大臣(Defense Minister Kalla Moutari)はタイムズ紙に言いました。「この情報に基づいて、行動が行われました」。
合同パトロールは疑われた基地へ行き、それが放棄されているのを発見しましたが、最近占有されていたという証拠がありました。
ニジェールの首都ニアミー近くの彼らの基地へ戻る前に、パトロール隊は給水のためにトンゴ・トンゴ村で止まりました。そこで、彼らは地元村民から医薬品の要請を受けて遅れました。村民が彼らの存在を民兵に警告したのかも知れません。
トンゴ・トンゴの南で攻撃は始まりました。
パトロール隊は民兵を誰も見つけませんでした、とタイムズ紙は書きました。「そのかわり、民兵が彼らを見つけました」。
この事件は昨年紹介していました。(過去の記事はこちら)
トランプ政権で最初の軍事的スキャンダルが起きたようです。攻撃的な任務は負わせていないとした部隊が、民兵指揮官の拘束を命じられ、十分な準備がないままに行動に移し、民兵に殺害されたのです。都合が悪い報告の隠蔽は過去にもありました。
ニューヨークタイムズ紙の記事を読まないと確実なことは言えませんが、大きな指揮上の問題が起きたように思われます。(タイムズ紙の記事はこちら)
いま言えるのは、こういう積極的な記事を報じるアメリカのメディアの凄さ。公式報告書が数千ページになるほどの調査を行う米軍の能力です。自衛隊にこれだけの力があるかは疑問です。
航空自衛隊のオスプレイのオートローテーションに関する報告書のひどさは前に書きました(過去の記事はこちら)。隊員の命がかかる調査なのに、空自はフライトシミュレータだけの検証でオートローテーションは可能だと結論してしまいました。
たった4人が死んだだけの事件で、これだけ広範な調査を行うのが米軍の慣例です。そういう点で、日本がひどく遅れをとっているのは間違いがありません。
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